看護師をやめて、キャビンアテンダントになってから見えたもの
2019.09.26 18:00
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ネット上の看護師にまつわる検索ワードで『看護師やめたい』というワードが上位にあります。
世の中に、検索上位ワードに上るくらいに、キャリア継続に悩み、インターネット上で答えを求める看護師の方が多くいるのでしょう。
今回は、勇気を出して、看護師のキャリアから一転、世界中を行き来するキャビンアテンダント(以下、CA)になった女性まろさんに、一歩踏み出して医療業界の外の世界に行ってみた経験をインタビューしました。
写真:まろさん提供 (CA時代の写真)
まろさん都内看護大学卒業。
その後、都心部にある大規模総合病院へ就職し、脳神経外科、呼吸器外科、眼科の混合病棟にて3年間勤務。
約半年の休養期間を経て、日系の航空会社へ転職。客室乗務員として国内線、国際線に乗務。4年半で退職。現在は看護師として美容皮膚科クリニックで勤務。
趣味は旅行。好きなものは、国内外問わず旅行、スキューバダイビング、コーヒー。客室乗務員時代は、世界各国のカフェを巡るのが仕事の楽しみのひとつだったとのこと。
看護師として必死な日々
ー看護師のキャリアの途中で、CAという別のキャリアを選択した まろさんですが、
看護師を目指したきっかけは何ですか?
まろさん 母親が看護師をしていたので小さい頃から看護師になりたいと思っていました。
看護師になってからは、一つずつ出来ることが増えていくことが嬉しくて、必死で勉強しました。
患者さんから必要とされていると実感できたり、あなたに会えて良かったと言ってもらえることにやり甲斐を感じ、自分だからこそ出来る看護をやりたいと思いながら仕事をしていました。
ー看護師の仕事はいかがでしたか?
まろさん 私が勤務していた病院は三次救急で、本当に忙しい病院でした。その中でも外科なので術前術後の管理に加え、救急入院、急変の対応など、常に緊張状態の中での仕事だったので、心身ともに擦り減って本当に辛かったです。
また、脳神経外科なので看護必要度が非常に高く、清潔ケアや体位交換、食事介助など朝から晩まで走り回っていました。家に帰ってからも、仕事のやり残しはないか、ミスはなかったかなどが気になったりして休まりませんでした。
ー看護師時代の1日のタイムスケジュールを教えてください。
まろさんの看護師時代の1日
-
AM6:00
起床、朝食
-
-
AM6:30
通勤
-
-
AM7:00
病棟
-
AM8:00
始業
-
PM12:00
昼食
-
PM16:30
残業
-
PM21:00
帰宅
-
PM22:00
夕食
-
PM22:30
シャワー
-
PM24:00
就寝
看護師と違う道に進もうと思い始めたきっかけ
ー看護師の仕事にやりがいを感じていたまろさんですが、看護師と違う道に進もうと思い始めたきっかけは?
まろさん 看護師は丸3年間で退職し、その後7ヶ月の休養期間を経て、航空会社での仕事がスタートしました。
転職をする際、募集要項に臨床経験3年以上と記載されている病院が多いと感じていたので、看護師として入職してから3年は絶対に働くつもりでいました。
元々転職を考えていたわけではありませんが、毎日が忙しく、辛くなってきていた事実がありました。
そのときに3年が限界だと感じ、絶対に働くと決めていた3年が経ってから退職しました。
ゆっくりしたかったのです。何もしない時期を作りのんびりと過ごしました。
退職後に雇用保険を受給しながら、そろそろ働こうかと思った時期にゆっくりと転職活動をしました。
具体的には、転職エージェントに登録して、転職先を探しながらも、単発派遣の看護師バイトもしていました。
ちょうどそのときに、航空会社に務める友人に誘われて、面白そうだと思って応募した航空会社で内定をもらったことが看護師以外への道に進もうと思ったきっかけです。
客室乗務員というと、なかなか内定をもらうのが難しいという話は知っていたので、いい機会だと思い社会勉強のつもりで応募しました。自分が内定をいただけるとは思っていなかったのですが。
ー看護師をやめようか悩みはじめたときは、相談相手や先輩はいましたか?悩みをどうしていましたか?
まろさん 看護師を3年で辞めようかどうしようか悩んでいた時は、職場の同期や大学時代の友人、家族に悩みを相談していました。
ー一般の就職活動は恐らく始めてだったと思いますが、看護師の仕事の合間にどうやってこなしたのか教えて下さい。
まろさん 私の場合は、退職してからの転職活動だったので、時間はたっぷりありました。
誰にも相談せずひとりでの挑戦だったので、全てインターネットで情報収集しました。
エントリーシートの添削や、面接練習なども全て自分ひとりでやりました。
写真:まろさん提供 (CA時代の写真)
CAになった日々。サービスを提供する相手がいるという共通点
ーCAになってみて実際いかがでしたか?
まろさん 看護師も客室乗務員も患者さんやお客さまがいる、サービスを提供する相手がいるという点では共通しており、患者さん視点、お客さま視点で物事を考えて仕事をするという部分は似ているのかなと感じました。
ただ、病院では日勤だと多くても7名、夜勤では20名程度しか受け持ちしなかったのに対し、客室乗務員は一度に大勢のお客さまにサービスを提供し、一日に何百人というお客さまに会うので一人一人とじっくり関わることが難しく、慣れるまでは戸惑いました。
飛行機の中では、体調不良のお客さまや、急病人も多いので、私自身も何度か急病人対応をしましたが、看護師の経験は非常に役に立ちました。
客室乗務員という仕事に就いたことで、得られたものもたくさんありました。
私自身、看護師をしていた時は膨大な業務量に忙殺され、自分自身についてあまり考えたことがなかったのですが
ひとりの女性として身についていたらいいなと思うような上品な立ち居振る舞いや、身だしなみ、言葉遣い、所作、マナーなど、学ぶ機会が得られたことはとても良かったです。
また、もともと旅行が好きだった私にとって、日本各地、世界各国を訪れ
いろんな景色を自分の目で見て、空気を感じて、歩き回って、美味しいものを食べたり、
たくさんの人と出会う経験ができたのはとても楽しい時間でした。
ーCA時代の一日のスケジュールを教えてください
CA時代のまろさんの1日(例アメリカへ)
-
AM 5:00
起床、朝食
-
AM6:00
出勤
-
AM7:30
会社到着
-
AM8:45
業務開始
-
AM10:30
フライト開始
-
PM14:00
食事
-
PM15:00〜17:00
休憩・仮眠
-
PM22:30
着陸
-
PM23:30
ホテル到着
=現地時間 9:30 シャワーを浴び、昼過ぎ〜夕方頃まで仮眠
離れてみてから振り返る看護師の仕事のやりがい
ーCAになってから、看護師の仕事を思い出すとどうでしたか?
まろさん CAはフライトの準備から始まり、飛行機に乗って、飛行機から降りたらそこで仕事が終了。
フライト準備として、事前に調べ物などをすることはありますが、
フライトが終わってから飛行機の中に残って残業をするようなことはありません。
その点において、病院はいつでもそこにあり、患者さんがずっといらっしゃるので、終わりがない感じがしました。
実際に、看護師時代は、時間通りに帰れることはほぼなく、毎日当たり前のように残業でした。
緊急入院、オペ、委員会や係の仕事などが重なると、日勤なのに0時を回ってから帰宅ということもありました。休日にも病棟ミーティングや勉強会などで病院へ行くこともあり、本当に寝ても寝ても疲れが取れない状態が3年間続きました。
客室乗務員もずっと走りまわっているような仕事で、看護師と同じように昼夜問わず働き、そこに気圧や時差が加わり、季節もバラバラなので体調管理も難しく、とてもハードな仕事であるとは思います。
ですが、そんなことが気にならないほど、看護師として働いた3年間は大変でした。
その分看護師は仕事のやりがいや、達成感が大きかったように感じます。
患者さんが自分を必要としてくれることがモチベーションに繋がっていました。
私の個人的な感じ方ではありますが、客室乗務員とお客さまの距離感よりも、
看護師と患者さんの距離感の方が近い感じがして、そういった部分も好きだなと感じました。
ー看護師時代に思っていたCAの仕事と、なってからで印象は変わりましたか?
まろさん 転職するまであまりCAに関して考えたことはなかったのですが、思っていたよりも力仕事や汗だくになってする仕事が多く、非常に体育会系だなと感じました。
ー4年間CAとして勤務したまろさんも退職を決意しましたね。CAを退職しようと決意したきっかけは何だったのでしょうか?
まろさん CAは月に半分くらいは家にいられないことが多いので、なるべく家にいられるようにと結婚を機に退職を考えました。
また、希望日に休みが取れないことも多く、予定が組めないことに対するストレスが多かったことも、退職を考える理由の一つでした。
ーCAのお仕事はスケジュールが組みにくかったのですね。
今後、看護師のお仕事には戻りたいと思いますか?
まろさん せっかく看護師免許を持っているので、看護師免許を生かした仕事がしたいなとは思っていました。
客室乗務員という仕事や自身の結婚式をきっかけに、美容に興味を持ったことに加え、勤務時間や休日、産休育休制度、給与面など、働きやすさを重視して現在は美容皮膚科クリニックでの勤務を選びました。
ー看護師の仕事に復職する際に不安はありましたか?
まろさん 私の場合はブランクが4年と長かったので、知識やスキルの面で看護師として働いていけるのかが不安でした。
東京都でも、離職中の看護師向けの講習などが受けられるようですが、開催日程に都合がつけられず、結局復帰訓練など受講しないまま、看護師へ復帰しました。
ブランクのある看護師向けに、気軽に参加できるような復帰訓練や講習会などの機会が増えるといいなと思います。
ー今後のご自身のキャリアのプランはありますか?
まろさん ライフスタイルに合わせて、フットワーク軽く働いていけたらいいなと思っています。
客室乗務員への転職という経験をしたことで、やろうと思ったらどんなことでもできるのではないかと思えるようになりました。
看護大学に通い国家試験を受けてせっかく看護師になったんだからと、無理に看護師に縛られる必要はないと思います。
もちろん、看護師がやりたいのであれば看護師として働いていくのもいいですし、
それ以外にやりたいことが見つかったのなら、いつでもそれにチャレンジできるような自分でありたいと思っています。
一度仕事がスタートしたら中途半端な事はせず、仕事に必要な知識を増やしたりスキルアップするための努力は続けますが、今後、出産や育児などに専念したいと思ったら、また仕事を辞めるかもしれません。
転職や復職など、その都度努力をするということさえ忘れなければいいかなと思っています。
上手に看護師資格を生かしていけたらいいなと思います。
ー最後に看護師を、やめようか悩んでいる人にひとことをお願い致します。
まろさん 看護師は色々な働き方ができるのが魅力だと思います。
病院、クリニック、訪問看護、施設や保育園などにも看護師、保健師として仕事があると思います。
また、常勤、パート、夜勤専従、単発の派遣などの働き方も選べると思います。
直接資格が必要な仕事ではないですが、私のように客室乗務員として働くうえで、
看護師の経験が役に立つという仕事もあるかもしれません。
辞めようかどうしようか悩んでいる方は、どうして悩んでいるのかを考えてみるのはどうでしょうか。
やりたいことがあるのか、やりたい事が分からなければ、やりたくないことは何なのか。
このまま続けていくうえで得るものは何か、失うものは何か。
その中で自分が大切にしたいものは何か、
優先順位をつけていくと、道が少しずつ見えてくるかもしれません。
看護師の強みは、いざとなったらいつでも看護師として就職できることだと思います。その強みを生かして、ポジティブにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
写真:まろさん提供 (CA時代の写真)
ーまろさんどうもありがとうございました。
ライフステージや自分のやりたいことに合わせて、勇気を出してキャリアチェンジをしたまろさん。
キャリアチェンジしながらも、看護師の資格や経験を上手に活かされていますね。
フレキシブルな考えで、ライフステージに合わせたキャリア選択をしていくまろさんの姿勢は、忙しい日々の中で、ワークライフバランスの取り方や、自分で生き方を選択していくことを忘れている方にはハッとするところもあるのではないでしょうか。
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