#47 趣味を仕事にすることを目指しながら挑戦。理学療法士のキャリア
2020.06.10 09:00
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医療職の方のキャリアや人生に対しての視野を広げるDspace Plusの「のぞき見みんなのキャリア」では、様々な医療職の方をインタビューします。
47回目は、理学療法士としてお仕事をしているKinさんです。Kinさんは、理学療法士として大学病院に勤務する傍ら、スポーツトレーナー活動もしています。
キャリアや医療業界に関してのお考えについて教えていただきました。ぜひご一読ください。
Kin
理学療法士。私立大学理学療法学科卒業、同年の理学療法士国家試験合格。
地元を離れ関西へ。総合病院を経て現在は大学病院リハビリテーション科に所属。
また仕事のかたわらスポーツ現場にも赴き、トレーナー活動も行っている。
趣味はバスケ観戦。
ーまずはKinさんが理学療法士を目指したきっかけをお教えください。
中学校までは人と関わる仕事で、かつバスケットボールに関われる仕事に就ければよいな、と漠然と考えていたので、体育教師を目指していました。高校入学してから、授業中に職業ビデオ鑑賞があり、そこで理学療法士を紹介していて、見終わると担任の先生から「これはKinに合ってると思うよ」と声を掛けられました。そこから理学療法士という職業を調べるようになり、この仕事であれば大好きなバスケにも関わることができると思い本格的に目指していきました。
ー中学校の先生の一言で将来の方向性が決まったのですね。Kinさんは、現在は、どのようにお仕事されていますか?
現在はフルタイムで勤務しており、大学病院で回復期リハビリ病棟を任されています。
理学療法士を目指したきっかけはスポーツでありましたが、いざ大学に入り勉強や実習を経験していくことで回復期病棟におけるリハビリの重要性や楽しさに気づき、現在の職場に入職して以来、ずっと回復期病棟で勤務しております。
疾患は重症(脳卒中や脊髄損傷、大腿骨・脊椎骨折、交通外傷による頭部外傷など)の患者様でその人の生活や人生を少しでもよりよくすることを目標に関わっております。若手スタッフが多く入ってくる病棟でもあるので管理や指導も積極的に行っております。
ーキャリアの選択を悩んだことはありましたか?現在のキャリアに進むに当たって、どう決断しましたか?
回復期病棟でのリハビリかスポーツ現場でのリハビリかを迷うことがありました。結局、仕事は回復期病棟のリハビリを、そして趣味としてスポーツ現場での活動を継続することを決めて、研修なども回復期に関連する脳神経や整形外科のセミナーだけでなくスポーツリハビリのセミナーや学会にも積極的に参加しました。
二兎追うものは一兎も得ずといいますが、私は二兎得るために行動しました(笑)。
ー今後は、どのようにお仕事をしていこうと考えていらっしゃいますか?
理学療法士になり仕事として回復期病棟で従事してきましたが、最近では、もっとスポーツ現場を支える活動がしたい!という気持ちが上回ってきており、今年度中には現在の職場を退職し、次へのステージに進むことを決意しております。私自身がバスケに関わるために選んだ理学療法士を全うするためにも、もっとバスケに携わらないといけない、と気持ちが大きくなってきました。趣味を仕事にするためにはどうしたらよいかを毎日ワクワクしながら考えています。
ー現在の働き方ならではのエピソードや感じていることをお教えください。
私が所属している回復期リハビリ病棟のリハビリスタッフは若手(1~3年目)が多いです。急性期病棟と比べ1回のリハビリ介入時間が長く(急性期病棟は1単位(20分)での介入のところ、回復期病棟では3単位(60分))、また回復期というだけあって、患者さんの回復も著明にみられるところです。患者さんの意識レベルもはっきりしてくる時期なので「ありがとう」と感謝されることも多いですし、回復期では脳卒中患者であれば5・6か月入院になることもあるので、長い時間をかけて関わることができるところです。
その反面、社会経験のない若手スタッフが入ってきますので、新人・後輩指導に追われております。コミュニケーション方法やマナーなど一般的な社会人に必要な知識から専門的な知識まで。大変さは否めませんが、そんな後輩が立派に患者様を回復させて、感謝されている姿をみるのが今の楽しみです。
ーお仕事の日はどのようなスケジュールで生活していらっしゃいますか?
大学病院勤務 理学療法士 Kinさんの1日タイムスケジュール
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-
AM 7:10
起床、朝食
犬の散歩
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AM7:50
通勤
ラジオを聴きながら車で通勤
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AM8:20
勤務先に到着
-
AM8:30
当日のスケジュール調整や入院患者の状態を把握。申し送り
-
AM9:00~12:00
臨床開始
リハビリ室でのリハビリ以外にも実際の生活場面でのリハビリを積極的に実施。
また合間には管理業務をPCで行う。
-
PM12:05
カルテ記載
-
PM12:15
昼休憩
(院内食堂)
-
PM13:20
管理業務
-
PM14:00
Dr.回診の同行やカンファレンスの参加
-
PM15:30
臨床
-
PM17:00
明日のスケジュール確認と調整。申し送り
-
AM18:00
退社
-
PM18:40
帰宅
犬の散歩
-
PM19:30
夕食準備
-
PM19:30
夕食
-
PM21:00
天気が良ければランニング
-
PM22:00
入浴
-
PM22:30
SNSチェックやPCでの作業
ブログやライターなど
-
AM1:00
就寝
ー現在キャリアを継続する上で、大変なことと、それに対して工夫している点は?
中間管理職となっているので、今までの臨床業務だけではなく、どうやったら効率よく業務が遂行できるのか、後輩が理解して行動するにはどのような表現や伝え方がいいのかを日々考えています。自分は器用にできても、一人一人の理解の仕方や行動の移し方は異なるので。この解決策として、まずは対話だと思っています。あとは私の上にも上司や他部署の先輩がおりますので、相談します。
「報・連・相」ですね。
ープライベートと仕事の両立を実現するため今の医療業界に必要なものは何でしょうか?
私の職場は有休所得などの休暇の取り方に対して柔軟な方なのでプライベートと仕事の両立はできると思います。ただ、一部のスタッフからはまだ有休・休みが取りにくいといった不満があるのは確かで、よくよく聞いてみると、上に声を上げづらい経験年数が若いスタッフが悩む傾向です。そこを解消するために、他の施設で取り入れていたのは「リフレッシュ休暇」といって絶対1年に1度は、1週間の休暇を取り入れないといけない制度があるようです。このように制度化することで若手スタッフも堂々と休みをとることができてプライベートと仕事の両立、OnとOffのメリハリができると思います。
個人的には若手だろうが声をちゃんと出せれるスタッフが増えてもらいたいといった想いもありますが・・
ー今後の医療業界の動きに期待することをお教えください。
現在、新型コロナウイルス感染症に対して最前線で戦っている医療機関の方には、多大なる感謝を申しあげます。理学療法士などのセラピストは患者と密着し、ソーシャルディスタンスを取りにくいですが、これはすべての患者さん、すべての症状にはあてはまりません。というのは、腰痛・膝痛のような症状が出る前に「予防」をすることで理学療法士が密着する時間を減らすことはできると考えます。医師のオンライン診療のようにリハビリのオンライン化、リハビリスタッフのオンラインリハビリがちゃんと診療報酬として取り扱われることができれば、病院に行かなくてはいけない人が少なくなると考えます。
テクノロジーの発展に合わせて理学療法士のようなセラピストも発展的にならないといけないと考えます。
ー最後に、これを読んでいる医療職の方に一言お願いいたします。
私は、やりたいことをやるためには我慢することが必須であると最近まで思っていましたが、そうではないようです。それを教えてもらったのは人との出会いでした。私は次のキャリアに向けて動きだしています。好きなものを職業にする動きです。
もともと周りを見て動く協調性タイプだったので、いきなり動き出すのは苦手ですが、、少しずつ自分の好きなことを仕事にする活動ができ始めています。あなたの周りにも輝きながら仕事・プライベートを充実している人はいませんか?勇気を出して話しかけてみてください。
ーKinさん、今回は貴重なご経験をお話いただき誠にありがとうございました。
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