#48 消防機関ではなく民間の道を開拓すると決めた救急救命士。
2020.06.12 09:00
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医療職の方のキャリアや人生に対しての視野を広げるDspace Plusの「のぞき見みんなのキャリア」では、様々な医療職の方をインタビューします。
48回目は、救急救命士として病院でお仕事をしているミチさんです。消防署ではなく民間の機関を選んだ
キャリアや医療業界に関してのお考えについて教えていただきました。ぜひご一読ください。
ミチ
救急救命士。3年制専門学校にて免許取得。
卒後、都市部の救命救急センターにて1年間勤務。退職後は医療にこだわることなく多方面のアルバイトを1年間経験。現在は、2次救急指定病院にて勤務中(現在7年目)。
現在独身。趣味は映画鑑賞や海外ドラマの視聴。
ーまずはミチさんが救急救命士を目指したきっかけをお教えください。
高校3年生の時に、人の為になる仕事をしたいと思いました。自分の人生を思い返すと、他の人に比べよく救急車にお世話になっていたことに気づきました。特に、高校1年生の時に自転車で単独事故を起こした時の記憶が鮮明に残っており、私も病気や怪我で苦しんでいる人を救える仕事をしようと思いました。
ーミチさんは、現在は、どのようにお仕事されていますか?
2次救急指定病院で勤務しています。
救急外来における診療補助・ドクターカーやDMATの出動・転院搬送・多職種に対する救急蘇生法教育・災害訓練の企画及び実施・各種統計データの作成等、救急患者に直接関与する事はもちろん、その他のデスクワークもあり、業務は多岐にわたります。
ーキャリアの選択を悩んだことはありましたか?現在のキャリアに進むに当たって、どう決断しましたか?
正直、とても悩みました。私がまだ専門学生の当時は、救急救命士といえば消防機関への就職が一般的であり、民間に進むという選択肢はほとんどありませんでした。
一方で、ごく僅かですが、民間でも救急救命士としての働き口が存在していた事も事実です。そこで、民間での業務内容や将来性について徹底的に調べる事にしました。その結果、この分野はもっと大きな可能性を秘めているのではないか、民間でも救急救命士は絶対的に必要になる存在ではないかと考えました。
とはいえ、当時はごく僅かな働き口で、将来性が大いに期待できる環境ではありませんでした。ましてや消防機関と比較すると将来に対する安定性は比べ物になりません。しかしながら、個人的には間違いなく今後必要とされる職種だと自信をもっていたので、民間の道を選ぶことにしました。そして、民間の道を選択した際に、僅かな可能性にかけるのではなく、自分自身で民間での救急救命士の道を開拓していこうと決断しました。
ー今後は、どのようにお仕事をしていこうと考えていらっしゃいますか?
現在の救急救命士法では、民間の救急救命士は知識や経験をフル活用した業務が困難な環境下にあります。そこで、厚労省等では、救急救命士法の改正について議論がされており、近々国会に改正案が提出される見込みです。もし救急救命士法が改正されると、現在の私自身の業務の効率化を図る事が出来ます。将来性や待遇面など労働環境の変化も起きると予測されます。
救急救命士法が1991年に制定されてから約30年経過した今、大きな転換期を迎えようとしています。現在、民間で働く救急救命士はもちろんですが、今後、救急救命士免許を取得する人達にとっても、多くの可能性を秘めた国家資格になります。今現在は、民間での救急救命士の業務や特性等の教育はカリキュラムに組まれていませんが、今後は必須になることが予測されるので、自身の経験を活かして教育の分野にも携わっていきたいと考えています。
それには時代に即したyoutubeやSNSでの情報発信も一つの策だと考えており、現在YouTubeチャンネルの開設を準備しています。
ー現在の働き方ならではのエピソードや感じていることをお教えください。
都市部の病院と比較して、地方の病院では、あらゆる面において時代の遅れを感じます。様々な業務の電子化やICTの活用など、地方ではなかなか取り入れられていません。また、いまや都市部では、救急救命士は多くの病院に雇用されていますが、私が住んでいる県には私1名しかいません。だからこそ、社会のトレンドを取り入れ、開拓に向けて闘志を燃やしているわけですが、寂しく感じる事もよくあります。
ーお仕事の日はどのようなスケジュールで生活していらっしゃいますか?
救急救命士 ミチさんの1日のタイムスケジュール
-
-
AM 7:00
起床、朝食、身支度
-
AM8:00
出勤
コメント
-
AM8:30
勤務開始
-
PM17:00
勤務終了
(救急患者がいなければ)
-
PM18:30
帰宅
夕食準備
-
PM19:00
夕食
-
PM21:00
家事・入浴等
-
PM23:00
フリータイム
-
PM24:00
就寝
-
ー現在キャリアを継続する上で、大変なことと、それに対して工夫している点は?
病院で働く救急救命士としての上司、同僚、部下は1人もいません。それゆえに全ての業務責任は自分にあり、誰かがサポートしてくれるわけでもありません。1つ1つの業務マニュアル作成など、1~10まで全てを自分で行う必要があり、とてもきつい環境です。
給与面に関しても基本的に事務員扱いなので、日々の生活は節約必須です。そのような中でも、民間の医療機関の救急救命士としての道を開拓していく上で、社会のタイムリーなトレンドなどを取り入れるために、全国規模の救急医学会等に積極的に参加をして、情報収集並びに自らの情報発信も行っています。
ープライベートと仕事の両立を実現するため今の医療業界に必要なものは何でしょうか?
休みを取りやすい環境整備とマンパワーの確保です。人手不足の問題を抱えている医療機関は多いので、マンパワーを確保して、誰かが休んでも、そこを補えるような環境は必要だと思います。人の命を扱う場で仕事も激務なので、気軽に休みにくい職場だと思います。しかし、この問題はまさに働き方改革だと思うので、社会全体で改革を起こせたらよいのではないでしょうか。
ー今後の医療業界の動きに期待することをお教えください。
ICTの活用等で先進的な医療を実践できる環境が整備されるとよいと思います。また、マイナンバー制度による情報の一元化は、医療業界にとっては、有用なシステムになると思うので、今後の医療のあり方にも変化が出てくるのではないでしょうか。
ー最後に、これを読んでいる医療職の方に一言お願いいたします。
私と同じように、地方の病院で頑張っている救急救命士へ。
我々がいま行っている事は、確実に必要な事です。立場や処遇に関して不満も多いと思いますが、我々は未来を掴むために日々奮闘しているのです。そして、その未来はいまや目の前にあります。ただただ突き進みましょう。
ーミチさん、今回は貴重なご経験をお話いただき誠にありがとうございました。
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