YouTube、動画での医療情報の発信で気をつけるべき著作権マナー5つのポイント
2019.10.07 05:29
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インターネットが普及する今、便利になった反面、多くの患者さんが多くの医療情報に惑わされているということをよく耳にします。そのような状況で、私たち医療従事者にとって、正しい医療情報を発信することは意義があるでしょう。しかし、正しい情報を発信する際の参考論文などの引用や参照の際に気をつけるべき法律やマナーがあります。
文章として医療情報を書く時には参考論文や出典に気を配っていると思いますが、動画ではうっかり抜けてしまっていませんか?
前回は、Webのライティングのマナーに関しての記事を公開しました。今回は、動画での医療情報の発信について気をつけておくべきポイントをご紹介します。
個人が動画配信出来るサイト・アプリ一覧
まず、個人で医療情報を”動画”で配信する方法にはどのようなものがあるかご紹介します。
SNS系サイト・アプリ
SNSのプラットフォームに動画が投稿できます。手軽に利用できますが、アップロードできるサイズや画質は動画配信サイトに比べるとやや限られています。
facebook (長さ上限120分。ファイルサイズ上限4.0GB)
Instagram (3~60秒)
Twitter (最大512MB)
LINE (タイムライン, 最大5分)
TikTok(15秒)
動画共有サイト・アプリ
動画配信の手段としてもっとも利用されるのがやはりYouTubeではないでしょうか。
Googleで検索すると、下の画像のように、Youtubeの動画の結果も出てくるので、特に発信媒体が決まっていなければ、無難にYouTubeが第一選択となることが多いと思います。
YouTube https://www.youtube.com
デフォルトでは 投稿できる動画の長さは15 分までで、それ以上はGoogle認証が必要。最大サイズは128 GB または 12 時間のいずれか小さい方となります。(一度変更されたため、昔のものだとそれより長いものも存在するそうです。)
ニコニコ動画(3GB以下, 6時間以下) https://www.nicovideo.jp/
Vimeo https://vimeo.com/jp/
ライブ系サイト・アプリ
facebook ライブ (8時間の時間制限)
Instagram ライブ
Twitter ライブ
SHOWROOM
誰でも配信できるのは、アマチュアアカウントとしてのみで、オフィシャルアカウントとは区別されます。https://www.showroom-live.com
(要応募) イチナナライブ https://17media.jp/
1. 動画にも出所表示義務がある
さて、上記では動画配信ができるサイトをご紹介しました。いずれかの媒体を利用すれば気軽に医療情報も発信が可能です。ここからは医療情報を動画配信する際に気をつけたいポイントを5つご紹介します。
医療情報などを発信する際に、参考論文などを参照することがほとんどと言って良いでしょう。
実は、動画だからといって出所明示義務が免除されるということはありません。YouTubeでもどのような媒体でも、他人の著作物を引用するときには出所表示義務があり、公正な慣行に合致する程度にはクレジットをつけなければなりません。
著作権法第48条では、以下のように定められています。
第四十八条 次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。
個人の意見と、参照した事実を区別して表現し、参照した出典の明示は、研究領域の慣習に準拠し、明示しましょう。また、必要な場合は許諾を得ましょう。
個人の意見と事実を区別するには、”「誰が何をした、何を言った」という形式にするのが有効な方法です。” (引用1)
2. 研究倫理のマナーを忘れずに
また、著作権法の問題とは別途、研究倫理やモラルの問題として、他人の業績を参照した際に、クレジットで明かさないのは、マナー違反ととらえられる可能性もあるそうです。
研究分野や領域によって不適切とされる判断や範囲が異なっているため(2)、分野に合わせた研究倫理マナーを知っておく必要があります。
研究倫理などのマナーに自信がない場合は、大学などの教育・研究機関などの規範を一読するなどで情報をアップデートしましょう。
公的なサイトだと、文部科学省のサイト(http://www.mext.go.jp/)に研究不正に関しての指針、研究不正に関してなどの報告や、諸指針などの情報が掲載されています。
3. 出所表示義務に違反すると罰金刑
また、上記の著作権法第48条の出所明示義務に違反した場合には、罰金刑も定められてます。(著作権法第122条)
著作権法
第百二十二条 第四十八条又は第百二条第二項の規定に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。
以上のように50万円以下の罰金刑が定められています。
4. 動画に参照のクレジットとして表示するもの
動画の時も文章と同様に、著者名、タイトル、出版社や参照ページを記載しましょう。
引用の表記などに関しては、こちらの記事をご一読ください。
Webライティングの際の表記マナー!引用や画像・イラスト利用時の法律と注意点!
5. YouTubeの場合は、コメント欄に表記でも良い?
クレジット表記は、動画上でなく、コメント欄でも良いかどうかですが、その点に関する裁判例は、現状ないそうです。
しかし、前述の通り、著作権法では、利用の態様に応じて合理的と認められる方法、程度で明示しなければならない(著作権法48条1項本文)とされています。
動画上かコメント欄か、見てる人に分かるように、著者名、タイトル、出版社や参照ページを表示すべきということになるでしょう。
YouTubeのコメント欄はタイトル部分をクリックしなければ出てこないので、どちらでも選択できるのであれば、動画上の方が無難かもしれませんね。
まとめ
簡単に動画配信ができる媒体が増え、文字による情報発信と同様に動画による発信もしやすくなってきました。しかし、動画だからといって出所明示義務が免除されるということはありません。
参照した文献や論文がある場合は、文章の場合と同じように、参考論文等を、出来る限り明示しなければならないことに気をつけておきましょう。
参考サイト
1.信頼される論文を書くために 東京大学大学院教育学教育研究科 (p16参考)
http://www.p.u-tokyo.ac.jp/wp-content/uploads/2014/03/manual_dec2012.pdf
2. 文部科学省
www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa201501/detail/1359518.html
facebookヘルプセンター
https://www.facebook.com/help/215726848451641?helpref=popular_topics
Twitterヘルプセンター
https://help.twitter.com/en/using-twitter/twitter-live
LINEの使い方まとめ総合ガイド
https://xn--line-e67f524q.com/entry/line-timeline-video-422
Youtubeヘルプ
ニコニコヘルプ
https://qa.nicovideo.jp/faq/show/5685?site_domain=default
東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 アカデミックマナーの心得
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/about/students/ethics
wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/動画共有サービス#ライブストリーミングの動画共有
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