#59 フリーランス医師から、イギリスへ。留学の経験から見えてきたもの

#59 フリーランス医師から、イギリスへ。留学の経験から見えてきたもの

2020.08.19 09:00




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医療職の方のキャリアや人生に対しての視野を広げるDspace Plusの「のぞき見みんなのキャリア」では、様々な医療職の方をインタビューします。

59回目は、後期臨床研修を経て、イギリスの大学院へ進学をしている医師のEco先生です。

留学を目指した経緯や方法、キャリアについてのお考えについて教えていただきました。ぜひご一読ください。

 

写真はイメージです。 (写真:Canvaより)

 

 

Eco

関西の私立医科大卒業後、イギリスの大学院へ進学。現在在学中

大学卒業後都内の病院で2年間研修医として勤務。研修終了後、約一年大学病院にて専門性高い後期研修を行う。しかし、もともとしたかった公衆衛生の分野に進むことを考えた結果幅広い臨床経験を積みたいと思い総合内科に転科。都内市中病院、へき地の病院などで後期研修を終了。

今後の人生について模索中(笑)。追われないとできない性格をどうにかできないものか・・・。

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ーEco先生が医師を目指したきっかけは何ですか?また研修後の進路を選択した動機を教えてください。

 

中学生の時国際保健について書いてある本を図書館で見つけて、「あ、これだ!!!!!」と思ったのがきっかけです。当時は公衆衛生や国際保健などの言葉は知りませんでしたが、こういう分野に進みたいとざっくり思い、どの職業で携わることを自分がしたいかを考え医師を志しました
 

 

ーフリーランスの医師になった経緯と、勤務医時代との違いを教えてください。

 

医師5年目の時に公衆衛生学大学院の受験をしましたが、イギリスの大学院の学費は高額で、ロンドンは特に生活費も他の場所より高く、学部時代の奨学金返済が多額にあったため貯金が足りずスムーズに進学はできませんでした。入学許可を一年ずらしてもらい(イギリスやアメリカなど海外の大学院では可能です。)イギリスでの学費+生活費を稼ぐことを目的に効率よく稼ぐことができるフリーランスに切り替えました。

 

医師5、6年目であった私にとっては、常勤で勤務するよりフリーランスのほうが収入が高くなるため目的に合っていました。また、5年目の常勤先の院長先生の計らいもあり、同じ勤務先で週3回勤務させていただけたということが安定してフリーランスができた一番の理由です。大学院受験は終わっていましたが、給付型奨学金を得るためたくさんの書類を作成していたこともあって、勤務医時代より多く時間のとれるフリーランスは非常に助かりました

 

 

ーイギリス留学中のEco先生ですが、なぜイギリスの大学院の受験にしたのですか?

 

受験については、もともとは、アメリカを受験する予定でした。しかし一部の学校を除くと大学院は2年間であり、1年間の大学院も疫学や医療政策学など一つに絞らずにまんべんなく学ぶということを知り、分野を絞ってでも深く勉強したいという私にはあっていないと思いイギリスの大学院を調べ始めました。

 

イギリスのほうがアメリカに比べ、細かくコースが分かれていました。私は医療経済や医療政策、医療保険財政学に興味があり、経済大学院と公衆衛生大学院と二つの大学院で学べるコースがあったため、そのコースを受験しました。とはいえ、念のためアメリカのコースも一つ受験していました。合格をいただけましたが、イギリス政府の奨学金を最終的にいただけたことでイギリスに最終的に決定しました。

 

 

ー忙しい日々の中、医師の仕事を継続しながら、どのように準備をしていたのか、思い立ってから留学までの準備期間と準備内容を教えて下さい!

 

大学を卒業後は「研修医を終えたら大学院進学する!」と意気込んでましたが、いざ初期研修を終了すると臨床経験が全く足らないと感じたため後期研修に進みました。

 

人によっては、研修のみで基礎に進まれる方も非常に多くいらっしゃいます。実際、何年臨床するのか、専門医はとるのかなど非常に悩みました。医療経済、医療政策を学んでいらっしゃる方が多くいる中、自分は何を強みにして持っておくのかを考えた結果、医療政策に興味がある中で実際に医療を提供する現場で患者さんと多くお話できる経験は強みになると考え後期研修終了程度まで臨床することに決めました。

 
思い立ってから計算すれば6年かかったということになりますが、いざ受験しようと思ってから準備(大学院受験)にかかった時間は一年です。奨学金申請にかかった時間も同様に一年です。

 

準備は、Personal statement、IELTS、推薦書の取得、大学院選び、GRE(アメリカも受験したため)です。
留学経験が一度もない私にとってIELTS、GREが一番の関門でした。学生時代一番得意な科目が英語でしたが、大学院進学向けの英語のレベルとの違いを感じました。

 

 

ーぜひEco先生のおすすめの勉強方法も教えて下さい。

 

家では勉強ができない性格なため、職場で残って勉強したり、カフェやファミリーレストランのすいている時間を狙って勉強していました。常勤で勤務しているときは勉強に割く時間をとりにくく、家に帰ってからだと疲れてしまい勉強できないことがあったので、職場は私の中で一番勉強しやすかったです。まわりが常に留学を応援してくれていたという恵まれた環境だったからですが。
英語は効率よくではなく、本当に地道に勉強するしかないのだなと感じました

 

 

ーフリーランス医師としてお仕事をしながら留学準備をしていた時代のタイムスケジュールを教えてください。

 

 

フリーランス医師時代(留学準備中)のEco先生のタイムスケジュール

 

    • AM 9:00

      仕事

       

    • PM12:00

      アポイント

      推薦書を書いて下さる先生方にアポイントをとって、連絡をとる

    • PM19:00

      勉強

      IELTSの勉強(Reading, listening writing), GRE数学を中心に

    • PM22:00

      帰宅後

      Personal Statementなどを申請に必要な書類作成

    • AM1:00

      就寝

       

 

 

基本的に準備の期間は、仕事と準備にしか時間を割いていませんでした。でも、煮詰まった時には23時くらいにバーにいったりリフレッシュしていました。

 

 

ーEco先生が留学生活を通して、大変だったことや、日本と比べて新鮮だったこと、行ってよかったと思ったことなど、留学生活全般を通して教えてください。
 

語学試験を通して、これで英語はある程度は大丈夫だろうというのが大きい勘違いでした(笑)。スピーキングは試験でのスコアの中でも特に高く、自分の中でも自信はあったのですが、デイスカッションについていけませんでした。自分の性格もありますが、コミュニケーションの取り方の違い、クラスメイトが同時に発言することがある、クラスメイトも多様性に富んでいるため様々な訛りがある、ころころテーマが変わっていくなど、いろんな要素が交じり何度もセミナーの時に泣きそうになりました。

 

意見をずばっといっても、セミナーが終われば仲良くて、違う意見をいっても「そうだね」と受け入れてもらえることは、非常に私にとって自由な発想、自由な意見を持っていいんだという自信につながり楽しかったです。この点においては、周りを気にしすぎて疲れてしまうことが多々あった日本より生活しやすかったです。

 
 
留学前、日本は経済大国(最近下降気味ではありますが)であり世界の中でも大きい存在感があると思っていました。留学中、日本という国はそこまで興味を持たれていないということが大きなショックであり気づきでした。大学院には、世界中から優秀な学生が集まっていましたが、私は留学を経た今も日本にも非常に優秀な研究者、学生がいると強く思います

 

しかし、やはり国外へのアピールを考えると言語面も含め弱いのかなと感じています。留学を通して、さらに「日本人として」という自覚が強くなりましたし、今後さらに外部にアピールできる学問の探求、語学力の向上に努めたいと思っています。

 

 

ーちなみに、医師目線で、イギリスの医療は、日本と比べるといかがでしたか?

 

イギリスの医療NHS(National Health Service) というところが管轄しており、国民みんなが平等に無料で医療を受けることができます(薬代はかかります。除外の方もいます。また、国民は住んでいる近くのGP(General Practitioner: 日本でいうクリニック、開業医の先生)に登録をし病気になった時はまずGPにかかり、もし専門の医療機関に受診をしなければならない時はその先生からの紹介状がないと受診できません
 
日本のように病院を自分で選んだりはできません。GPも予約なしでは基本的に受診することはできず、また予約も最短1週間後などすぐには診てもらえないことが多くあります。そのこともあって、国民の人は薬局で自分で対処するということが日本に比べて非常に多く感じます。(風邪程度では病院にいかない・・・)
 
イギリス留学中、おおきなやけどをしてしまい救急外来を受診しましたが、2時間以上待つほど混んでいました。熱傷外来を受診した方がよいとのことで専門医に通院しましたが、その際は予約ですべて管理されておりスムーズでした。

 

日本の方が、自分で病院も選ぶことができ、大きい病院で専門医に診てもらいたいと思えば選定療養費はかかっても受診ができる点で、私にとっては安心だと感じました。しかし、そう感じるのは、慣れ親しんだ医療制度じゃないというのが大きくあります。現にイギリス人の多くはNHSに絶大な信頼をおいています。

 

 

ー留学後のキャリアはどのようにするご予定ですか?決断した理由をお教えください。

 

学位取得後は、現在体調を崩しており治療専念する必要もあるため、またフリーランスなど自分の生活にあった働き方をしたいと思っています。
留学を通して、研究の分野の方向性も定まったためPhD取得も強く考えています。

 

 

ー最後に留学に興味がある医療職の方に一言をお願いします!

 
専門職として勤務されていない方からは医師免許があるから、なんだって目指せばいいということを言われることが多かったのですが、実際は医者のキャリアの積み方は一定のレールが敷かれているように感じます。初期研修⇒後期研修⇒専門医⇒他の専門医のように。

 

公衆衛生など他分野の勉強、研究をしたいと思う場合、専門医を取得をする/しない研修施設で働く/働かないという選択は非常に若手医師にとって頭が痛い悩みだと個人的には思います。今しかできないことをするという努力を重ねていれば、大学院進学のタイミングもいいときにくるのかな?と思いました。

 

何よりも大切なのは、自分の目標や方向性を適宜変更していく必要はありますが、失ってはいけないことだと留学準備から留学中含め感じました。

 

もしお話を聞きたいという方がいらっしゃいましたら、参考になるかはわかりませんがご連絡ください。(プロフィールのLinkedInまで)

どうもありがとうございました! :)

 

 

ーEco先生、今回は貴重なご経験をお話いただき誠にありがとうございました。

 



 

 

 

 

 

 

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