#53 病院薬剤師と育児の両立
2020.06.25 09:00
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医療職の方のキャリアや人生に対しての視野を広げるDspace Plusの「のぞき見みんなのキャリア」では、様々な医療職の方をインタビューします。
53回目は、薬剤師で、一児の母のhanaさんです。hanaさんは、総合病院で薬剤師として時短勤務をしています。
キャリアや医療業界に関してのお考えについて教えていただきました。ぜひご一読ください。
hana
薬剤師。6年制の私立大学薬学部卒業。公立病院、調剤薬局を経て、中規模総合病院勤務。一児のママ。
趣味は子どもと散歩。
ーまずはhanaさんが薬剤師を目指したきっかけをお教えください。
幼少期から医療系の番組やドラマが好きで、漠然と将来は病院で人の役に立ちたい。と思っていました。小学生のころに入院することがあり、ベッドサイドで服薬指導してくれた薬剤師がカッコよく、将来の夢になりました。
医者や看護師には言えないことも、薬剤師さんには話せる。そんな些細なことから、患者さんの背景を知り治療に生かせられれば。と思い、薬剤師を目指しました。
ーhanaさんは、現在は、どのようにお仕事されていますか?(現在の働き方や専門等を選んだ理由なども合わせてお教え下さい。
現在は時短で働いています。
フルタイムでの復帰も考えましたが、まだ子どもは1歳と小さく、子どもとの時間も大切にしたかったので、時短にしました。
また、公立病院時代は夜勤があり、残業も多かったので、結婚を機に夜勤のない病院へ転職しました。
しかし、病院という特性上、夜勤はなくても待機があり、小さい子がいてもその業務は行わなくてはならないので、とても辛いです。
ーキャリアの選択を悩んだことはありましたか?現在のキャリアに進むに当たって、どう決断しましたか?
救急に携わりたかったので公立病院へ就職しました。結婚、出産をしてもすぐに復帰しバリバリ働くつもりでした。しかし、女性は産休・育休という休まなくてはならない期間があることから救急は出来ませんでした。
そういったキャリアを捨てて、結果的にはゆったりとした病院へ転職しましたが、育児が落ち着いたらまたバリバリ働くことができるかもしれない、と思い結果的に良い決断をしたと思っています。
しかし、病院という特性上、夜勤はなくても待機はあるので、夜中の呼び出しに対応しなくてはならず、小さい子がいて睡眠も足りないので、とても大変です。
ー今後は、どのようにお仕事をしていこうと考えていらっしゃいますか?
病院薬剤師にはとてもやりがいを感じていますが、時短だととても給料が少なくなってしまうことと、
子どもが1歳になるまでしか、夜間業務や抗がん剤調製などの危険業務から外してもらえないので、病院から調剤薬局への転職も考えています。
また、子どもが小さいうちは仕事を辞めて、家にいることも考えています。それができるのも薬剤師の強みかな、と思います。
ー1歳になるまでしか、夜間業務や抗がん剤調製などの危険業務から外してもらえないとのことですが、周囲に育児をしながらそのような環境で育児をしている方はいますか?
周りには子どものいる女性、男性が多くいます。3歳に満たない子どもを育てている方もいます。しかし、当時は抗がん剤調製がなかった、夜間業務がなかった、などから同じ子どものいる女性でも、「私にはもう関係ない」との対応で、正直人としての冷たさを感じています。
そういった点でも、転職を考えています。
ー現在の働き方ならではのエピソードや感じていることがあれば、お教えください。
病棟薬剤師は患者さんの動きに合わせて勤務内容が決まることが多いので、朝早く出勤したり、緊急で入院した方の持参薬を調べたりと、急遽残業になってしまうことがよくあります。公立病院時代は22時まで勤務することもありました。業務が多く、プライベートとの両立は厳しかったです。
学べることは多いですが、薄給なのが病院薬剤師の辛いところだと感じます。
また、妊娠・出産しても抗がん剤の勤務から外してもらえなかったり、危険業務を行わなければならず、精神的にキツく、今後の働き方に悩んでいます。
ーお仕事の日はどのようなスケジュールで生活していらっしゃいますか?
病院薬剤師 hanaさんの1日のタイムスケジュール
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AM 6:00
起床・朝食
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AM9:00
保育園に送り、出勤
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PM16:30
退勤、夕食の準備
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PM17:00
保育園お迎え
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PM18:30
夕食
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PM20:00
入浴
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PM21:00
子供寝かしつけ
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PM24:00
就寝
翌日の夕食の準備、家事などが終わり次第寝ます。
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ー現在キャリアを継続する上で、大変なことと、それに対して工夫している点はありますか?
子育てと家事、仕事の両立がとても大変です。
実家も遠方のため頼ることができず、精神的にも体力的にもきついです。
また、資格を取るための勉強の時間がなかなか取れないことも大変です。単位は、それまでは実際に勉強会に行っていましたが、e-learningで取得するように切り替えました。
薬剤師の資格+αがないと今後薬剤師として生き残っていかないと感じていますので、子育てしながら資格取得は大変ですが、頑張りたいと思っています。
ープライベートと仕事の両立を実現するため今の医療業界に必要なものは何でしょうか?
女性が働きやすい環境作りです。
薬剤師は6年制になり卒業するまでに莫大なお金がかかるようになりました。私は奨学金を借りて卒業しましたが、給料が医師や歯科医師に比べてはるかに少ないです。奨学金を返すために働いているのか?と思うほど、手元に残らなかったりします。
なので、産後やはり復帰しないとなかなか生活は苦しいです。
ですが、病院におけるママ薬剤師には厳しいです。とてもママ薬剤師が働きやすい環境とは感じません。
子育てしている看護師は多く、制度や理解も確立していますが、薬剤師界で理解が進んで欲しいと思います。
ー今後の医療業界の動きに期待することをお教えください。
医療における最後の砦として働く薬剤師の立場を正しく評価していただき、相応のお給料をいただける社会。そして、妊娠・子育てをしている女性が働きやすい柔軟な社会になることを期待しています。
ーhanaさん、今回は貴重なご経験をお話いただき誠にありがとうございました。大学病院での薬剤師勤務と育児の両立はとても大変そうですが、現在のご経験が今後のキャリアに活きるよう願っております。
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