#29 シングルママ歯科技工士のダブルワークと育児の両立。

2020.04.14 09:00

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Dspace Plusの「のぞき見みんなのキャリア」では、医療職の方のキャリアや人生に対しての視野を広げることを目的に、様々な医療職の方のインタビューを取り上げています。

「のぞき見みんなのキャリア」29回目の今回は、歯科技工士としてお仕事をしているMaahanさん。彼女は、歯科技工所と開業歯科医院でのダブルワークをする歯科技工士でもあり、シングルマザーでもあります。

歯科技工士 Maahanさんのキャリアについてのお考え、歯科業界・医療業界に関してのお考えについて教えていただきました。ぜひご一読ください。

Maahan

歯科技工士（主に歯冠）。シングルマザー。

志望大学に全滅し浪人。某アパレルブランドのショップ店員を経験。大阪の大学附属の技工士学校卒業後、1年目で結婚。3年目に長男を出産。現在は、市内の技工所で勤務後、地元に戻り歯科医院・技工所のダブルワーク。

趣味はLIVEへ行くことと、3歳から習っているダンス。

ーまずはMaahanさんが歯科技工士を目指したきっかけをお教えください。

元々は薬剤師を目指していましたが本命だった薬学部は全滅でした。

浪人していたのですが2浪目はないと、学費が安く願書の期日が迫っていたので滑り止め感覚で受験した技工士学校が受かったことがきっかけです。

ーMaahanさんは、現在どのようにお仕事されていますか？

現在は歯科医院に週3回、技工所に週2回のパートでのダブルワークです。

臨床の現場を知っておきたいという理由と、技工士は技術職なので技術を落としたくないという理由でダブルワークをしています。

ーMaahanさんは、キャリアの選択を悩んだことはありましたか？現在のキャリアに進むに当たって、どう決断しましたか？

卒業目前までは技工士はしないつもりでした。

元々目指していた職業でもなかったので。

でもせっかく免許も取得したし、とりあえず年齢を決めてそこまでは技工士として頑張ってみようと思いました。

結局設定した年齢を超えても続けていますがね。むしろ積極的になりました。

ー現在は、育児中とのことですが、どのようにお仕事を両立されていらっしゃいますか？

歯科医院は朝から夕方（保育園お迎えの時間）までにしています。

技工所は納期に余裕があるものなど仕事量を調節してもらっています。

ー育児との両立に関して、現在の働き方ならではのエピソードや感じていることがありますか？

技工所に関しては雇用主さんと私の少人数ラボなのですが、

夕方に帰れるように仕事量を調節していただいたり、間に合わなかった場合にも仕事を引き継いでくれるなどかなり甘えさせてもらっています。

研磨だけお願いします！ということも結構あります。

歯科医院のほうでも子育てママさんの多い職場なので非常に助かっています。

ーお仕事の日はどのようなスケジュールで生活していらっしゃいますか？

歯科技工士 Maahanさんのタイムスケジュール

【歯科医院の日】

- AM 7:30
  
  起床・朝食・準備
  
  子供の着替えなど
- AM8:30
  
  子供を保育園に送迎
- AM9:00
  
  出勤
- PM13:00
  
  午前診療終了・昼食
- PM15:00
  
  午後診療開始
- PM17:00
  
  退勤・お迎え
- PM19:00
  
  夕食・入浴
- PM21:00
  
  子供寝かしつけ
- PM23:00
  
  就寝

【歯科技工所の日】

- AM 7:30
  
  起床・朝食・準備
  
  子供の着替えなど
- AM8:30
  
  子供を保育園に送迎
- AM9:00
  
  出勤
- PM13:00~14:00
  
  タイミングが合えば昼食
- PM18:00
  
  切り上げ退勤・子供お迎え
- PM19:00
  
  夕食・入浴
- PM21:00
  
  子供寝かしつけ
- PM23:00
  
  就寝

ー現在キャリアを継続する上で、大変なことと、それに対して工夫している点は？

独身時代、子供がいないときは与えられた仕事はできるだけその日のうちに片付けて次の日に持ち越さないようにしていました。なのでサービス残業は当たり前。出勤時間を早朝にしたりもしていました。

育児をしている現在は、納品に間に合えば問題ないので明日できることは明日に持ち越す。無理に今日仕上げない。というふうにスタンスを変えました。でないと体も心も潰れてしまいます。

実際そうやってリタイアしていく技工士さんを何人も見てきました。

ープライベートと仕事の両立を実現するため今の歯科業界・医療業界に必要なものは何でしょうか？

どの業界にも当てはまると思うのですが、子育てに協力的な社会作りと歯科技工士の働き方改革です。

歯科技工士は深夜まで作業をするのが暗黙の常識のようになっています。女性技工士が少ない理由のひとつでもあります。

定時で帰れる技工所が増えて欲しいと願うばかりです。

ー今後の歯科業界・医療業界の動きに期待することをお教えください。

歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士が平等な立場になることです。

実際、私が過去に勤務していた歯科医院は歯科衛生士と歯科技工士の給与にかなりの差がありました。無資格の職種と同じ給与だったのです。同じ国家資格なのにと疑問でした。

ー読者の医療職の皆様に一言お願い致します。

歯科技工士は目立つような職業ではありません。むしろ認知度が低いです。実際わたしも知りませんでした。

表立って活躍されている医療関係の皆さんに思っていて欲しいのは、わたしたち技工士のように影の存在があってこその医療だということを頭の片隅でいいので置いて欲しいです。

放射線技師さんの活躍があるから画像診断ができる、歯科技工士の作る補綴物があるから治療を完了できる。

目立たない存在ですが私たちは重要な役割を担っています。

ーMaahanさん、今回は貴重なご経験をお話いただき誠にありがとうございました。様々な業界で進んでいる働き方改革。歯科業界・歯科技工士業界にも広がると良いですね。

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