#73 緩和ケア認定看護師、働き方の見直しからフリーランスへの挑戦
2023.02.17 09:00
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医療職の方のキャリアや人生に対しての視野を広げるDspace Plusの「のぞき見みんなのキャリア」では、様々な医療職の方をインタビューします。
73回目は、フリーランスの認定看護師としてお仕事をしている村上さんです。
キャリアや医療業界に関してのお考えについて教えていただきました。ぜひご一読ください。
村上
看護師。2009年看護師免許取得、2016年緩和ケア認定看護師合格。
消化器内科、血液内科、呼吸器内科、循環器内科、腎臓内科、糖尿病内科で勤務経験あり。
夫と愛犬(シェルティ&キャバリア)と穏やかに過ごしています。
ーまずは村上さんが看護師を目指したきっかけをお教えください。
私が看護師を目指したのは、高校生の頃に母親から「これからは資格の時代だ。手に職があった方がいい!」と言われたことがきっかけでした。自分や家族が入院した経験で看護師に憧れて…というような立派な理由ではないので、恥ずかしいのですが。働いてみると天職だと感じたので、看護師を選んで良かったと思います。
認定看護師を目指したきっかけについて
ー村上さんは、さらに認定看護師を取得されているとのことですが、取得した時期、種類と、その経緯やきっかけとなったご経験などがあればお教えください。
私は看護師6年目の頃に緩和ケア認定看護師を目指しました。
新人の頃からがん看護に携わってきたので、終末期の患者さんとの関わりが多くてつらいこともありました。助からない命を看ることがつらかったんですよね。
それで救命救急センターに異動したいと思ったのですが、当時の師長がたまたま勧めてくれた「緩和ケアエキスパートナース研修」に参加したのをきっかけにがん看護や緩和ケアの素晴らしさに気づきました。
研修から帰ってきた報告と同時に、「緩和ケア認定看護師になりたいです!」と当時の師長に伝えました。その数ヶ月後には受験して、認定看護師教育機関に入学していました。
今思えば、当時の師長が導いてくれた道だったんだなと思います。
ーそのようなきっかけがあったのですね。認定看護師を取得する上で大変だったこと、それをどうやって乗り越えたかお教えください。
認定看護師になるには、とにかく働きながらの受験勉強が大変でした。人生でこんなに勉強したことはないっていうくらい勉強しました。
認定看護師教育機関に共に通った同期と連絡を取り合ったり、休日には一緒に勉強会をして、支え合いながら乗り越えました。とにかく緩和ケアの道を究めようとする人は、心根が優しい人が多いと思います。たくさん支えてもらいました!
現在の働き方について
ー村上さんは、現在は認定看護師としてフリーランスとして勤務中とのことですが、キャリアの選択を悩んだことはありましたか?現在のキャリアに進むに当たっての経緯などをお教えください。
フリーランスとしてはまだまだ活動不足なのでお恥ずかしいのですが・・・。
認定看護師の道を選んだ時点で、忙しい世界に足を踏み入れることはわかっていたのですが、病院勤めだと思うように働けないという葛藤がありました。
コロナ禍で特に人員不足の現場でしたので、病院側からは専門性を活かした活動よりもスタッフナースとして夜勤ができる人材であることを求められました。「緩和ケアに従事できないまま時間だけが過ぎてしまう」という不安がありました。
病院という組織に属していたら安定していますから、これまで多少の不満はあっても退職することは考えていませんでした。産休・育休を夢見て働いてきて、ありがたいことに第一子を授かったのですが、夜勤中に流産してしまいました。それから自分の働き方を見直そうと思って、たどり着いたのがフリーランスの道でした。
ー現在の働き方ならではのエピソードや感じていることをお教えください。
現在はブログ運営やwebライターとして、緩和ケアや看護に関する情報を発信する傍ら、本の執筆もしています。先日2冊目の本を出版しました。看護学校の講師の依頼を受けているので、空いた時間で講義資料を作成しています。さらに講師として業務委託契約が結べる看護学校を探しています。フリーランスとなって、時間にゆとりもできたので、気持ちも穏やかになったように感じています。
これまでは正社員として雇用されることしか考えていませんでしたが、今は派遣の需要が高いことも知りました。派遣は働きたい場所や時間を自分で選べるので、生活の自由度が上がるのがいいところだと思います。
流産をしてしまった経験から、なるべく身体に負担がなくて済むように働き方は自分でコントロールしたいと思うようになりました。
ーお仕事の日はどのようなスケジュールで生活していらっしゃいますか?
フリーランス認定看護師村上さんのタイムスケジュール
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AM9:00
起床、犬・猫の世話・執筆開始
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PM12:00
犬の散歩、昼食休憩
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PM14:00
執筆
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PM18:00
夕食
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PM21:00
執筆
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PM24:00
就寝
ーどうもありがとうございます。
プライベートと仕事の両立を実現するため今の医療業界に必要なものは何でしょうか?
正直なところワークライフバランスという言葉は、医療業界にはあってないようなものだと思っています。看護師の大量退職に関するニュースが世間を賑わせたのも、プライベートと仕事の両立が困難だったためだろうと思います。
今の医療業界は、潜在看護師をもっと活かせたらいいんだろうと思います。離職していく看護師の代わりに新卒看護師で補充する考えの病院もあるので、新人看護師に教える側が疲弊して辞めていく連鎖がこの5~6年止まりませんでした。
私自身も自宅には寝るためだけに帰るような暮らしをしてきたのですが、人員不足が解消されない限りは残業ゼロは無理だろうと思って諦めてしまいました。とにかく看護師の資格を持った人にもう一度現場に戻ってきてもらえるといいと思います。
ー今後の医療業界に期待することをお教えください。
看護の現場では「看護じゃなくて業務をしているだけだ」とやりがいを感じられなくなっている看護師が多く存在します。すべて人員不足が一番の理由です。以前のように患者さんに何かよいことができたという小さな達成感はなく、駒のように使われることに疲弊して辞めていく有能な人材も多いと思います。
私たち看護師は、お金ももちろん欲しいですが、それよりもやりがいや達成感を欲している場合もあります。短時間からでも働いてくれる人をどんどん雇えたらいいのでしょうが、そうもいかないのでしょうか。潜在看護師がもっと現場に出てこられるような働き方を考えるべきだと思います。雇用形態も常勤や非常勤だけでなく、派遣や業務委託であっても医療行為に参画できる制度であれば、フリーランスの看護師も業務委託という形で専門性を発揮して現場に向かえると思います。
ー最後に、読者の医療職の皆様に一言お願い致します。
緩和ケアはこれからも需要がなくなることのない分野だと思います。認定看護師の専門性を活かして働ける場が増えることを期待しています。
現在私は「しぽさんぽ~緩和ケア認定看護師の歩き方~」というブログで緩和ケアの情報を発信しています。同じくフリーランスの方や認定看護師の資格を持っている方、緩和ケアに興味のある看護師さんと繋がれたら嬉しいと思います。また、「はじめて緩和ケアを学ぶ『0年生』のための教科書」という書籍を出版しています。手に取っていただけましたら嬉しいです(^^)
村上さんこの度は貴重な体験をさせていただきありがとうございました。
村上さんの、働き方を模索しながらフリーランスへ踏み出す挑戦を応援します!
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