#60 歯科医師から医学部医学科入学の決断
2020.10.05 09:00
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医療職の方のキャリアや人生に対しての視野を広げるDspace Plusの「のぞき見みんなのキャリア」では、様々な医療職の方をインタビューします。
60回目は、歯科医師を経て、現在は医学部生となっているD先生のインタビューです。
キャリアや医療業界に関してのお考えについて教えていただきました。ぜひご一読ください。
画像(Canvaより)はイメージです。
D
歯科医師。医学部生。
国立大学歯学部歯学科卒業、国立大学医学部医学科在学中。
医科大学口腔外科にて歯科医師臨床研修を修了。
大型歯科クリニックにて一般歯科を学ぶ。現在、一般歯科医院に在籍中。
趣味は、旅行、旅先での食べ歩き。
ーまずはD先生が歯科医師を目指したきっかけをお教えください。
高校生の頃は漠然と医療職や資格を取得できる学部を目指していました。医学部、歯学部、薬学部などが候補に挙がっていましたが、生命をダイレクトに扱う医学部はなかなかハードルが高く決断しきれませんでした。そこで、幼い頃から歯科医院に通っており身近な存在であった歯科医師になろうと考えました。
ーD先生は、現在医学部を再受験されているとのことですが、どのように決断されましたか?
歯学部入学後は医学部と同様に解剖学、組織学、生理学、生化学などを学びます。母校の歯学部では、口腔領域の基礎医学だけではなく医学部と同等の一般医学を詳しく教えて頂くことができました。それがきっかけで口腔領域だけではなく全身医学に興味を持ったことが再受験のきっかけだと思います。実際、現在の医学部生活においても当時の基礎医学の内容が十分役立っています。
その後、卒業後に医科大学の口腔外科にて臨床研修を行いました。そこでは多くの基礎疾患を有した患者さんや、口腔癌の患者さんの診療に携わることができ歯科医師1年目にして、とても貴重な経験をさせて頂きました。
しかし、歯科医師では歯科治療を通して、基礎疾患に寄与することはできるものの基礎疾患そのものを治療することはできません。また、癌診療では耳鼻科、形成外科などの隣接診療科との垣根もあり、歯学部生の頃に興味を持った全身医学への熱が再燃し最終的に再受験を実行するまでに至りました。
ー歯学部時代の医学の授業の存在が大きかったのですね。
再受験にあたって、その時はどのよう働いていましたか?また、周囲や、同業の反応がいかがでしたか?
常勤で働きながら受験していました。当時の周囲の方々や同級生には合格してから伝えたのですが、歯科医師よりも医師の方がむいていると言われることが多かったです。特に同級生は、私が基礎医学科目が好きだった変わり者の印象があったからかもしれません。
ー現在は、医学部生でいらっしゃるとのことですが、どのように受験勉強とお仕事と両立されていらっしゃいましたか?
まずは薄い参考書でも良いので一冊を完璧にすることが大切かな、と考えます。また、再受験を志している方は大学や社会人を経験しているので、高校生の時よりも効率よく学べることが身についていると思います。私は仕事が終わって21時から0時まで勉強、仕事が休みの日は遊ぶという決まりを設けて勉強していました。
ー社会人に一度なってから、改めて、医学部の学生になったとのことで、最初の学生生活と現在とで学生生活の感じ方はどのように変わりましたか?
歯科医師として臨床経験があったため、どのような科目も臨床現場との関連が想起しやすく凄く興味を持って取り組めています。また、最大で7つも歳下の同級生達との学生生活で若さのエネルギーをもらうことができます。
ー現在は、お仕事の日がある日は勉強とどのように両立していますか?
お仕事をする日の1日のスケジュールを教えて下さい。
歯科医師 医学部生D先生のタイムスケジュール
-
AM7:00
起床
-
AM8:30
通勤
-
PM19:30
終業
-
PM20:00
ジムや英会話
-
PM22:00
大学の予習、復習
-
PM25:00
就寝
ー歯科医師免許を持っていると、歯科医師としてのバイトもできるので普通の社会人大学生よりは両立しやすいように思えるのですがいかがでしょうか?
自分が有している資格や技術や資格を使ってのバイトはとても有意義で、歯科治療も好きなのでとても楽しくできています。また、飲食店などのバイトよりもお給料が高いのも凄くありがたいと思います。得られたお給料に関しては、なるべく医学書や英会話など自分に投資するようにしています。
ープライベートと仕事の両立を実現するため今の医療業界に必要なものは何でしょうか?
伝統的な考えである「遅くまで職場に居れば頑張っている」、という考えを捨てることだと思います。もちろん、状況次第で遅くまで職場にいることは重要で意味のあることだと思います。しかし、居ること自体が目的になってはいけないと思います。そのためには昼勤、夜勤、当直などの役割の徹底が重要だと考えます。
現在新型コロナウイルス感染拡大で大変な状況ですが、リモートワーク、テレワークの重要性が見直されています。医療業界ではリモートワークの定着は困難ですが、できることから普及させていければ心強いマンパワーの増加が見込めると思います。
ーこちらのサイトDspace ※はじめ、今後の医療業界の動きに期待することをお教えください。
(※Dspace は、医療の働き方をより自由にすることを目標に作られた、医療機関と医療従事者が直接繋がることができるサイトです。)
各方面で進められているリモートワーク、テレワークを参考に遠隔医療が導入されれば、コロナ渦だけではなく僻地診療などにも活かせていけると思います。また、オンラインならではの迅速なやりとりで適材適所の人材を配置できることは経営面や効率的な診療の向上にも繋がって行くと思います。
ー最後に、読者の医療職の皆様に一言お願い致します。
現在新型コロナウイルスという未曾有の事態で様々な医療機関が大変な状況下であるかと存じます。もし、何か協力できることがありましたらご連絡頂ければと思います。
ーD先生、今回は貴重なご経験をお話いただき誠にありがとうございました。
歯学部出身で医学部への編入や再受験を考えたことがある方も多いと思いますので、きっと皆さんの参考になることと思います。どうもありがとうございました!
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