歯科医院で活躍している職種〜歯科医師・衛生士・技工士だけじゃない!?〜

歯科医院で活躍している職種〜歯科医師・衛生士・技工士だけじゃない!?〜

2020.02.22 15:30




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みなさんは、歯科で働いたことはありますか?

歯科に歯科医師と歯科衛生士、歯科技工士という職業があるのは、わかるという方は多いはず。実は、意外と歯科〇〇とつかなくても、歯科で活躍できる職業があります。

 

今回は、医療職の方向けに、歯科医院や病院歯科で働く職業には一体どのような種類があるのか、ご紹介します。

働けそうな資格をお持ちの方は選択肢の1つとして考えながら御覧ください。新卒の方もこれからの参考にして下さい。

 

歯科医院の施設の種類

実は、歯科医院にも入院が可能なものから、よく街で見かける歯科クリニックのような規模まであります。まずは簡単に大まかな施設ごとの特徴をご説明します。

歯科診療所

皆さんが『歯科』と聞いてイメージするような歯科クリニックなどがこちらに当たります。規模としては病院ほど大きくなく、医療法人という形式をとらなくても、歯科医師が個人事業主として開業することも出来ます。

 

1つの医院だけを運営している歯科医院もあれば、複数をグループ医院のように運営している歯科医院もあります。

またマーケティング施策として、実質的には別事業でも、フランチャイズで、医院名やサービス名を出しているような医院もあります。最近(2020年現在)で言えば、ホワイトニングやアライナー矯正などでしょうか。

 

 

病院の中の歯科

一般的にみなさんが「歯科医院」と聞いて想像するのは、先程ご紹介した、街なかにある歯科診療所だと思います。

もしかしたら医療職の方は、職場の病院に歯科があれば馴染みがあるかもしれません。実は、医科の病院の中に歯科があることがあります。

病院の中の歯科は、入院対応が可能だったり、病床もあることが多いです。

内容としては、一般の歯科診療だけ、もしくは口腔外科という歯科の中でも外科手術を主に取り扱う診療か、2つのうちどちらかか、両方があるパターンがおそらく多いと思います。

 

歯科病院

 

病院の中の診療科としての歯科ではなく、歯科大学の附属病院など、歯科病院として独立または、医科と併設しているような施設もあります。お近くの歯科大学の病院を探すには、「歯学部附属病院」などのキーワードで検索してみると良いかもしれません。

 このような、歯科に特化した病院では、歯科医師、歯科衛生士だけでなく、言語聴覚士などの言語外来を設けている場合もあり、細かく診療科が存在し、より多色な職種が活躍していることが多いです。

 

(参考) 厚生労働省では、医療施設の種類は以下のように定められています。

医療施設の種類

病 院 ・・・医師又は歯科医師が医業又は歯科医業を行う場所であって、患者20 人以上の入院施設を有するもの

 

一般診療所・・・医師又は歯科医師が医業又は歯科医業を行う場所(歯科医業のみは除く)であって、患者の入院施設を有しないもの又は患者19 人以下の入院施設を有するもの

 

歯科診療所・・・歯科医師が歯科医業を行う場所であって、患者の入院施設を有しないもの又は患者19 人以下の入院施設を有するもの

 

 

 

歯科医院で求人される職種

先程ご紹介した、歯科診療所、病院歯科、歯科病院 含めて、一般の歯科診療所で求人として募集される職種は以下のものになります。まず国家資格がなくてもお仕事ができる職種と、国家資格が必要な職種があり、今回は医療職の方向けメディアなので、有国家資格のものを主にご紹介します。

 

まず国家資格がなくても歯科で活躍できる職種は以下のものがあります。(この記事では、民間の資格は省きます。) 

 

無資格の職種:受付・事務・歯科助手・器具洗浄滅菌など

 

有資格で歯科で活躍できる職種は以下になります。

 

一般の歯科診療所

 

・歯科医師

・歯科衛生士

・歯科技工士

・管理栄養士・栄養士

・保育士(院内保育園や託児スペースがある場合)

 

病院歯科など大きな施設の歯科

上記に加え、

・薬剤師

・診療放射線技師

・言語聴覚士

 

などがあります。

 

※大学病院の歯科には、一般の歯科クリニックとは異なり、歯科助手はほぼいないことが多いです。

 

それぞれの職種が法律の範囲内でできること。

歯科では、様々な職種が存在しますが、それぞれの人が担う業務内容は、それぞれの資格に紐付いている法律を遵守することが大原則です。

法律を逸脱した業務をさせてしまう、または指示を受け実施してしまうことは、すべて経営者の責任になると思いきや、指示を受け、行ってしまった側にも責任が問われてしまいます。以下に2019年に歯科衛生士・歯科助手も院長の歯科医師とともに逮捕されてしまった事例をご紹介します。

歯科関係の職種に関する法律を以下に紹介します。詳細は法律の全文が見られる厚生労働省のリンクを記載しているので、そちらからご確認下さい。

それぞれの法律には、規定に違反した場合の罰則等も定められています。

 

 

歯科医師法

“第一条 歯科医師は、歯科医療及び保健指導を掌ることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。”

 

参照 厚生労働省 歯科医師法

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=80064000&dataType=0&pageNo=1

 

 

歯科衛生士法

“第二条 この法律において「歯科衛生士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、歯科医師(歯科医業をなすことのできる医師を含む。以下同じ。)の指導の下に、歯牙及び口くうの疾患の予防処置として次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。

一 歯牙露出面及び正常な歯茎の遊離縁下の付着物及び沈着物を機械的操作によつて除去すること

二 歯牙及び口くうに対して薬物を塗布すること。

 

“第十三条の二 歯科衛生士は、歯科診療の補助をなすに当つては、主治の歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、又は医薬品について指示をなし、その他歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。ただし、臨時応急の手当をすることは、さしつかえない。”

 

参照 厚生労働省 歯科衛生士法

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=80067000&data-

 

 

歯科技工士法

“第二条 この法律において、「歯科技工」とは、特定人に対する歯科医療の用に供する補てつ物、充てん物又は矯正装置を作成し、修理し、又は加工することをいう。ただし、歯科医師(歯科医業を行うことができる医師を含む。以下同じ。)がその診療中の患者のために自ら行う行為を除く

2 この法律において、「歯科技工士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、歯科技工を業とする者をいう。

3 この法律において、「歯科技工所」とは、歯科医師又は歯科技工士が業として歯科技工を行う場所をいう。ただし、病院又は診療所内の場所であつて、当該病院又は診療所において診療中の患者以外の者のための歯科技工が行われないものを除く。”

 

参照 厚生労働省 歯科技工士法

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=80073000&dataType=0&pageNo=1

歯科衛生士の業務範囲について

厚生労働省からは、法律以外は公的なガイドラインは出ていないものと思われます。(2020年2/22現在)

平成24年には、厚生労働大臣宛て要望書「歯科衛生士法の一部改正について(要望)」日本歯科医師会会長・日本歯科衛生士会会長(平成24年3月1日)と要望書等が出され、「女子」ではなく、「者」とする提案や、業務内容に関しての議論はされているようです。

 

(参照)厚生労働省 歯科衛生士法について

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002hqb8-att/2r9852000002hqeg.pdf

 

また、歯科衛生士が独自にオフィスを構えて口腔衛生活動を行っていいかなど歯科衛生士の業務内容についても平成26年に議論されています。(これは歯科関係者にとっては興味深い会議内容だと思います)

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/h260903gijiyoshi02.pdf

 

(参考)その他、あくまで公的なものではなく、民間の学会にはなりますが、一般社団法人 日本ヘルスケア歯科学会という学会から、開業医や弁護士等で作成した”ヘルスケア型の歯科診療における歯科衛生士の日常の診療補助業務に関するガイドライン”を作成しているようです。

http://healthcare.gr.jp/resource/journal/2014/aj14_DHrev.pdf

 

 

 

法律に違反すると…?逮捕される。

 

2019年に歯科医師が不在の間、歯科衛生士が治療や、レントゲン撮影をしていたとして歯科医師法違反歯科衛生士法違反の疑いで歯科医師とともに歯科衛生士が逮捕されました。またこの事件では、診療放射線技師法違反の疑いもあるそうです。

 

事件の概要は以下の通りです。

 

”海外渡航などで歯科医師が不在にしている間、資格を持たない歯科衛生士が歯の治療をしていたとして、愛知県警は3日、名古屋市東区にある歯科医院「カフェ・ロラ松本歯科」の歯科医師松本健容疑者(78)と、歯科衛生士の女(50)を、歯科医師法違反や歯科衛生士法違反などの疑いで逮捕した。”

 

“歯科衛生士は、歯や口の中の病気の予防処置や保健指導、歯科医師の診療の補助をする専門職。抜歯や歯を削るなどの治療行為は歯科医師のみに許されている。歯科衛生士法では、歯科衛生士は歯科医師の指示なしに診療機械や医薬品を使ってはいけないとしている。”

 

2019年10月3日 朝日新聞デジタルより引用

https://www.asahi.com/articles/ASMB23H0TMB2OIPE00D.html<

 

おそらく、逮捕された歯科衛生士は、雇用される側なので、自ら率先して行ったことではないと推測されるでしょう。しかし、歯科医院を運営している歯科医師が悪くても、指示されて実施した医療職も逮捕されてしまいます。立場上、弱いといえども、法律に反すると罰せられてしまうのです。

 

医療従事者の皆様は、十分気をつけ、出来ないことはNoというようにしましょう。そもそも、そんな医院は早いうちにやめることですね!

 

医療系の各資格に関しての法律は、こちらの記事を参考にして下さい。(後日アップ予定)

 

まとめ

今回は、歯科で勤務することができる職種をまとめました。該当の職種の方は、今後の転職の際に選択肢のひとつとして検討してみてください。

 

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ライター 柴田育 歯科医師・歯学博士。株式会社SPARKLINKS.代表。東京医科歯科大学大学院卒業、北海道大学歯学部卒業。東京医科歯科大学矯正外来(非常勤)を経て、フリーランス歯科医師(矯正)として歯科診療に携わる。

 



 

 

 



 

 

 

 

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