#76 ベルギーの看護師経験から実感した言語とワークライフバランスの大切さ。
2023.05.22 09:30
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医療職の方のキャリアや人生に対しての視野を広げるDspace Plusの「のぞき見みんなのキャリア」では、様々な医療職の方をインタビューします。
76回目は、現在は海外で生活をしている看護師のアンフィさん(ペンネーム)です。
キャリアや医療業界に関してのお考えについて教えていただきました。ぜひご一読ください。
アンフィ
看護師。地方県立短期大学看護学科出身。卒後地方総合病院、東京で内科病院、透析病院、皮膚科クリニックで計8年間看護師として勤務。
婚姻を期にベルギーへ転居。公用語のフランス語の学習、ボランティアを経て介護施設で看護師としても勤務の経験をする。
趣味は園芸、料理、旅行、犬。
ーまずはアンフィさんが看護師を目指したきっかけをお教えください。
目的がないと行き先が定まらない大学受験を前にして、はじめて看護科へ進むことを決めました。経済的な安定が魅力だったことと、もしかしたら身近な人や家族のためにもなるのではと思い目指しました。
ーアンフィさんは、現在どのようにお仕事されていますか?
直近まで介護施設で勤務していました。苦手な深夜勤務がなかったことが一番の決め手でした。
ー現在は、海外のベルギーに居住でいらっしゃるとのことですが、お仕事を始める上で悩んだことはありましたか?
一番躊躇したのは言語の壁による不安でした。公用語のフランス語で、しかも医療用語を理解し多職種の同僚と施設の利用者さんやその家族、薬局などとのやりとりが必要なのはわかっていたので、どこまでフランス語のレベルがあれば看護師として勤務できるだろうという不安です。
あとは同僚になる人たちは皆地元の方で、母国語がフランス語の方たちばかりですので、自分を受け入れてもらえるのか、という不安もありました。
ー今後は、どのようにお仕事をしていこうと考えていらっしゃいますか?
実際に働いてみると、日常生活では問題なかった自身のフランス語が、働くとなるとやはり難しいものが多く、職場の人たちはそのことについて理解してくれていましたが、自身が以前のように働けていないストレスが大きく、上司と話し合って休職させてもらいました。
今後は、看護師としてもっと単純な、ワクチン接種業務や採血業務などが単発でもあればやっていこうと思っています。
同時に、コロナ禍以来オンラインでのお仕事も増えているので、オンライン上で日本企業とお仕事ができたらと考えています。
ーオンラインでの活動の場が広がっていくと良いですね!
現在の働き方ならではのエピソードや感じていることをお教えください。
ベルギーでは、看護師や介護職の人手不足が深刻で、そのため看護師一人の業務や責任が日本にくらべて大きく、また介護ケアもかなりの人数を一人でこなさなければならず、日々心身共に疲れてしまい、仕事のあとや休日も何もせずに過ごしてしまっていました。
もともと趣味である園芸や料理にも手が回らず、仕事そのものは多少つらく感じても続けられたかもしれませんが、この生活を一生送るのは違うなと思い、夫とも相談しストップすることにしました。
仕事でストレスや疲労が蓄積することは仕方のないことですが、そのストレスを発散したり癒しを感じられる趣味にも手を出せる程度の、いわゆるワークライフバランスのとれているお仕事ができたら幸せだなと思います。
派遣ナースや短期限定ナースの求人もあるので、そういったお仕事で自分のテンポでお仕事を探そうと思っています。
ーベルギーでのお仕事がある日はどのようなスケジュールで生活していらっしゃいましたか?
看護師アンフィさんのタイムスケジュール
-
-
AM 5:00
起床、朝食、身支度
-
AM6:00
出勤
-
AM7:00
勤務開始
-
PM15:10
退勤
-
PM15:30
帰宅
掃除や洗濯など家事
-
PM18:00
夕食準備
-
PM19:00
夫と夕食
-
-
PM22:00
就寝
ー現在キャリアを継続する上で、大変なことと、それに対して工夫していることはありますか?
以前は主婦のようなものだったので、仕事をしてから家事を以前のようにこなすのが難しくなりました。その分、夫が全面的に協力してくれていました。
また夫との勤務時間の差もあり、以前より一緒に過ごす時間がかなり減ってしまったのも辛かったので、正社員としてまた働く時は時短勤務や、週4勤務を受け入れてくれるところにしようと思っています。
また言語による、業務上のストレスや煩わしさもかなりあったので、フランス語の学習は継続して続けていこうと思っています。
ーやはり、海外で働くには日本にいる以上の努力が必要なのですね。
ワークライフバランスに課題を感じられていたアンフィさんですが、プライベートと仕事の両立を実現するため今の医療業界に必要なものは何だと思いますか?
残業がほぼない職場だったのですが、自由時間があっても心身疲れていては何もすることができないと身をもって感じました。
人手不足はどの国でも同じではありますが、足りない人手に対する仕事のボリュームとその運び方の工夫は常に考えるべきものだと思います。
また同僚どうしでの労いや思いやりがあってこそ、忙しくても士気を高め合って働いていけるものだと思いました。
時間の確保はもちろんですが、仕事中、特に医療業界ではチームで連携していなければ成り立たない仕事が多く、同僚の協調性と思いやり、これがあってこそ業務も効率的にこなせ、結果気持ちよく勤務を終えプライベートも充実させることができると思います。
ーどうもありがとうございます。チームの連携や思いやりは大切ですね。
今後の医療業界に期待することをお教えください。
人手不足に対する人材の確保ですが、その手段のひとつとして外国人看護師への教育と採用がもっとどの国でも充実していたらと思います。
自身がこの地では外国人であり、働いてみると外国人の看護師が本当に全然おらず、外国人ならではの困難がなかなか理解されません。また看護師として働くときの言語、技術など、出身国との違いに対する特価した教育があったらどんなにいいだろうと思いました。
特にベルギーはヨーロッパですので、EU圏内の看護師でしたらどの国でも自由に働けるはずですが、言語の違いのため資格をもっていても異国で働いている看護師は少ないです。
これからは国の移動があっても、これまでの医療経験と資格を活かせる教育とシステムがより多くの国で構築されたらなと思います。
ー最後に、読者のみなさまに一言お願い致します。
医療職をもって異国で働いている方、他国での勤務を目指している方、興味がある方お互いに頑張りましょう。
また人手不足で辛い日も多いと思います、休めるときにしっかり休んで、プライベートも充実させましょうね。
ーアンフィさん、今回は貴重なご経験をお話いただき誠にありがとうございました。海外で資格を活かしながら働くのは想像以上に大変なことだと思います。これからもオンラインや、現地の派遣など活躍の場が広がることを心より応援しております!
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