#65 渡米後の医師のキャリア。オンラインで活躍の道を切り開く。

#65 渡米後の医師のキャリア。オンラインで活躍の道を切り開く。

2021.01.14 09:00




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医療職の方のキャリアや人生に対しての視野を広げるDspace Plusの「のぞき見みんなのキャリア」では、様々な医療職の方をインタビューします。

65回目は、配偶者の渡米で、アメリカで育児をしながら、オンラインで医療監修やライター等のお仕事をしている医師のmaki.s先生です。

キャリアや医療業界に関してのお考えについて教えていただきました。ぜひご一読ください。

 

maki.s

 

30代医師。医師歴13年、ライター歴5年。専門は腎臓内科、透析。都内私立大学出身、都内国立大学大学院卒業。

都内大学病院に勤務し、同大学の大学院卒業後、夫の就職を機にアメリカへ移住。アメリカでは2人の娘の育児の傍ら医療系記事のライティングや監修、医療系ユーチューブ監修、医療関係者へのコンテンツ作成、クリニックで使用する動画のシナリオ作成、サプリメント広告へのアドバイスなどをしています。医師としての経験や知識を活かし、在宅でも誰かの役に立ちたいと願っています。

 



 

 

 

 

ーまずは、maki.s先生が医師を目指したきっかけをお教えください。

 

私の父は歯科医師で、母は薬剤師だったので小さい頃から漠然と医療関係の職業を身近に感じていました。高校に入学してから、真剣に将来の職業を考えた時に、自然と医師が浮かびました。歯科医師や薬剤師も魅力的でしたが、私は体全体を診る医師になりたいと思いました。

 

 

 

ーmaki.s先生は、腎臓内科をご専門とされていらっしゃるとのことですが、腎臓内科を専門として選んだ理由をお教え下さい。

 

腎臓を治せる薬を発見できたらノーベル賞がもらえるといわれています。つまり、現時点でも腎臓を治せる薬はなく、全世界で研究が行われていますが難しい状況だということです。私は、臨床にも研究にも興味があったので、研究すべき課題がたくさんある腎臓内科学はとても魅力的に感じました。

 

また、腎臓には多くの機能があり、他の臓器とも関わりが深く、臨床もやりがいがあると思いました。内科というとメジャーである循環器内科や消化器内科、呼吸器内科などが浮かぶ人が多いかもしれませんが、専門性の高い腎臓内科は私が最も興味を持てる分野だったので選びました。

 

 

ー現在maki.s先生は、医師である旦那様のアメリカ留学と就職で、アメリカに移住されていらっしゃるとのことですが、渡米の際にキャリアの継続への不安や、今後の方針等はございましたか?

 

最初のアメリカ留学は2年間の予定だったので、帰国してからは医師または研究者として働くつもりでいました。しかし、夫が留学先の上司から声をかけていただき、留学の後に再度渡米し就職することが決まり、私はキャリアの継続が難しくなりました。再渡米時には第2子妊娠中でしたし、上の子もまだ1歳だったのでキャリアについてはまたゆっくり考えようと思っていました。

 

現在は上の子が3歳、下の子が1歳になり、今後のキャリアをどのようにしようかなと時々考えます。ただ、アメリカでの育児は慣れないこともありますし、アメリカでは頼れる親族も周りにいないので、子供達が成長して、私自身も働けると思ったタイミングで動き出せればいいなと考えています。

 

アメリカで働くとしたら、博士号があるので研究者か、アメリカの医師免許を取得して臨床医か、だと思います。正直なところ、日本であれば育児をしながらでもキャリアを継続しやすかったなと思うことはあります。ただ、日本にいる時よりも、子供や家族と過ごす時間が増えているので、とても幸せです。

 

日本に子供達と残り、キャリアを継続するという選択肢もあったとは思いますが、私の中で家族は可能であれば一緒にいた方がよいという考え方があったので夫と渡米し今に至ります。

 

 

ー現在は、海外で2児の育児中とのことで非常に忙しいと思います。医師として勤務していた時と、現在と、それぞれどのようにお仕事と育児を両立されていらっしゃいますか?

 

私は夫の留学中に妊娠して、帰国後は産休、育休で仕事をお休みしていたため、臨床医として仕事と育児を両立した経験はありません。

時々、スポットで内科外来や健診の仕事をしていた時には、自宅に信頼できるベビーシッターさんを呼んで娘を見てもらっていました。その時に感じたのは、働く母親は大変だなということでした。仕事に行く時には自分の準備に加えて、娘の準備もしなくてはいけなくて、仕事が終わったら時間に追われるように帰らなくてはいけなかったからです。私は経験がないので想像だけですが、保育園に入れる場合には、定刻に毎日連れて行かなければならないのでもっと大変だろうと感じました。

 

現在は、在宅での仕事なので融通が利きます。ただ、育児と家事を終えた後は疲れているので寝落ちしてしまうこともよくあります。正直なところ、このまま寝たいと思ったことも何度もあります。在宅ワークは、自分の都合で働けるのが良いですが、自分との闘いだなと思っています。納期が迫っているのに、子供が発熱したりして看病しなくてはいけないこともあり、時間との戦いになることも多いです。

 

 

ーお仕事の日はどのようなスケジュールで生活していらっしゃいますか?

 

医師ライタ maki.s先生 のタイムスケジュール

 

    • AM 7:00

      起床、朝食

      子供の準備をする。

    • AM8:00

      子どもをプレスクールへ送る。

       

    • AM8:30-12:00

      下の子と遊びながら家事

      料理、洗濯、昼食。

    • PM12:00

      プレスクールお迎え

       

    • PM12:30-16:00

      子どもたちと遊ぶ、入浴。

       

    • PM16:30-17:00

      夫帰宅。夕食。

       

    • PM18:00-20:00

      子供達と遊ぶ、寝支度、寝かしつけ

      絵本を読んで寝かしつけ。

    • PM20:00

      仕事開始

      子供達が寝てから在宅での仕事開始。

    • PM24:00

      就寝

       

 

ー現在は、医療系の記事監修や、YouTubeの医療監修等幅広くご活躍されていらっしゃいますね。

日本の国家資格保有者で、配偶者の転勤で臨床から離れることにか葛藤があったり、診療の現場以外での資格や知見の活かし方に悩む方もいらっしゃいます。そのような葛藤は、maki.s先生はどのように乗り越えてきましたか?

 

 

夫の留学について渡米する前までは、臨床医としての勤務と大学院生としての研究、大学院を卒業するための準備、学会での発表など常に忙しく、終電で帰ることも多かったです。そのため、最初は仕事から離れて少し休めて嬉しかったです。

 

しかし、夫の留学中は子供もいなかったため、日中は家事をして、夫の帰りを待つ毎日に次第にストレスを感じるようになりました。夫は優しいですし、いつも感謝してくれているのですが、家事は同じことの繰り返しで社会と切り離されているように感じました。家事や専業主婦を批判しているわけでは全くないのですが、仕事をしていると良くも悪くも評価され、報酬が払われ、自分の成長も感じることができ、私には合っていたのだと思います。

 

自分次第だとは思うのですが、アメリカですぐに働くことも難しく感じたので、それもストレスに感じました。次第にストレスの矛先が夫に向くようになり、喧嘩することも増えていきました。

 

ある時に、これではいけないと在宅でも何かできることはないかと探し、その時に見つけたのがクラウドワークスやランサーズといったクラウドソーシングサイトでした。そういったサイトには、多くの企業や個人の方が登録されていて、さまざなまな在宅でできる仕事が掲載されており、自由に応募できます。在宅ワークを始めて5年経ちますが、家に居ながら医師の経験を生かせることに幸せを感じています。クライアントさんに仕事内容を高く評価してもらえたり、感謝されたりすると、とても嬉しくやりがいを感じます。

 

でも欲を言えば、私は患者さんと話したり、一緒に病気を治していく臨床医の仕事がとても好きだったので、育児が落ち着いたらいつか臨床に戻りたいなとは思っています。

 

 

 

ー日本では、企業からでも正しくない医療情報もネット上に流れることがあると思います。インターネット上で医師が、医療の知見を活かすことや医療情報発信することの意義に関して、いかがお考えですか? 

 

在宅ワークを通じて感じたのが、インターネット上には間違っている医療情報がたくさんあるのだなということです。

 

私は医療関連の記事の執筆だけでなく監修もするので、一般の方が書かれた原稿を見ることもあります。なかには、医学的に治らないとされている病気を治ると書いている原稿や出所不明の情報を鵜呑みにしてまとめている原稿もありました。驚くことに、医師監修済みとしてすでに掲載されている情報も、本当に医師がきちんとチェックしたのかと疑うくらい内容が正しくないものもありました。私にも時々依頼があってお断りしていますが、医師の名前だけ借りて、監修済みとしているのかもしれません。

 

できれば医療関連の記事は、医師や看護師などの医療従事者が執筆や監修を行った情報だけを掲載すべきだと思っています。

とはいっても、医療従事者は本来の仕事の場所はクリニックや病院などの医療機関なので、医療記事の執筆や監修をしている余裕はないことがほとんどです。

 

私のように海外に住んでいたり、育児で家にいることを選択していて、在宅ワークが最も都合がよい働き方である医療関係者はある程度いると想像しています。まだ、在宅ワークの認知度も低いかもしれないので、医療関係の方で少し余裕がありそうな場合には在宅ワークを通して能力を生かせればよいのではないかと期待しています。

 

医療関連の記事を読む人は、おそらく体の不調があったり、何らかの不安があったり、家族の不調で悩んでいるのではないかと思っています。一般の方は、正しい情報か正しくない情報か判断するのは難しいこともあると考えています。在宅ワークを介して医療従事者が活躍し、信頼性の高い情報の割合が増えていくことを願っています。

 

 

ー日本で医師として生活していた経験と、現在の海外生活を経験して、両方を通じて感じていることをお教えください。

 

日本で医師をしていたら、現在のように子供達とたくさんの時間を過ごすことはできなかったと思います。海外での生活や育児は大変なことも多いですが、子供達にとって母親は1人しかいないですし、やりがいもあります。仕事では得られなかった感動や幸せをもらっているなと感じたりもします。欲を言えば、週2くらいで医師として働けたら理想だなと思います。アメリカでは医師免許を取得するための試験を受けて、ハードな研修医もしないといけないので、現在は育児を優先しています。

 

女性はどうしても配偶者の転勤や育児などで、自分の生活やキャリアが影響を受けます。それはアメリカでも同様で、働くためには多くのお金を払ってシッターさんを雇ったり、保育園に預けなくてはならず、女性が働きづらい状況はあるようです。

 

私は何事も一長一短だと思っているので、キャリアは一時お休みしていますが、今の生活も幸せです。今は育児に専念して、寝かしつけた後は在宅ワークで医師の経験を生かす生活スタイルが合っていて、私にとっても家族にとってもおそらくベストだと思っています。

 

現在は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、いろいろなことがスムーズにいかない状況でもあるので、コロナ禍が落ち着き、娘たちももう少し大きくなった時に働き方の選択肢を増やすために、アメリカの医師国家試験の勉強を近いうちに始めてもよいかなとは考えています。

 

大学院生の時に、上司によく言われていて好きだったのが「肩あっためといて」という言葉です。どのような状況でも、チャンスを逃さないように、いつでも走り出せるように準備をしておくことは大事だなと思っています。

 

 

 

ーとても素敵な言葉をかけてくれる上司がいらっしゃったのですね。

それでは次の質問に移ります。先生が、現在の医療業界で課題に感じていることはありますか?また、今後の医療業界に必要なものは何だと思いますか?

 

 

日本の医療業界は、医療従事者の献身的な努力で成り立っているところも大きいと思います。アメリカは日本と保険制度が違う点が大きいですが、医療従事者の負担が日本より少ないように感じています。

 

アメリカでは分業が進んでおり、それぞれの職業の方の役割が明確になっています。例えば、他院への紹介状の作成再診の予約内服薬の説明などは医師ではなく、それぞれの担当の方が対応します。

そのため、アメリカでは医師が手術や診療に集中できている印象があります。日本では、何でも医師がやらなくてはいけない傾向があり、過剰労働になっているので医療ミスも起きやすい状況にあると感じています。それぞれの部署がそれぞれの仕事に集中して取り組むことができれば、専門性も上がり、医療の質が上がると思います。

それから、これは日米両方に言えることだと思いますが、女性の医療関係者が働きやすい環境をもっと推進していくべきだと考えています。せっかく専門の知識を身につけたのに、育児や介護などで家にいなければいけない時間が多く、知識や経験を十分に生かせないのはもったいないことです。

 

少子化の日本では、女性に対して、もっと生んでください、そしていきいきと働いてください、と政府が訴えているように感じますが、私はそもそも育児と家事、仕事の両立は体力的にも精神的にも無理なのではないかと思います。仕事と同じように、育児も家事も夫婦で協力して一緒にやれば早く終わるし、楽しいこともあるのではないでしょうか。男性ももっと育児や家事に参加しやすいように、社会の雰囲気が変わっていくことを願っています。

 

 

 

ー最後に読者の医療職の皆様に一言お願い致します。

 

アメリカで自分や子供が医療機関を受診する機会があり、日本の医療は患者さん思いで、質が高いと感じました。現場でも在宅でも、医療職の方ができることはたくさんあると思います。無理のない範囲で、それぞれの能力が生かせればいいなと願っています。

 

 

ーmaki.s先生、今回は貴重なご経験をお話いただき誠にありがとうございました。

アメリカに渡ってからの仕事に対しての気持ちの変化や、キャリアの切り拓き方には、きっと参考になる方もたくさんいらっしゃると思います。

先生がアメリカで医療監修した情報が日本にいる方々の目に触れることはとても現代らしい知見の活かし方ですね。これからもご活躍を応援しております。

 



 

 

 

 

 

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