#63 海外生活に向けて。診療放射線技師とライター業、2拠点生活の実践。
2020.10.19 09:00
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医療職の方のキャリアや人生に対しての視野を広げるDspace Plusの「のぞき見みんなのキャリア」では、様々な医療職の方をインタビューします。
63回目は、診療放射線技師としてお仕事をしながら、ライターとしてもご活躍しているまりんさん。
キャリアや医療業界に関してのお考えについて教えていただきました。ぜひご一読ください。
まりん
診療放射線技師。国公立大を卒業後、都内の大学病院で診療放射線技師として6年間勤務。駆け出しライターとして医療記事からグルメ記事まで幅広く執筆しています。技師の仕事がある時は都内に住み、ライターの仕事に集中したい時は海辺の田舎に住む2拠点生活中。
ーまずは、まりんさんが、診療放射線技師を目指したきっかけをお教えください。
学生の時ははじめから診療放射線技師(以下、放射線技師)になりたいと思っていたわけではなく、ただ漠然と「人を助ける仕事がしたい」と思っていました。
ちょうどその頃、たまたまテレビで特集されていた乳がんの放射線治療を見て、「放射線を使った医療技術って奥が深いなあ」と思って調べているうちに放射線技師と言う職種を知り興味を持ったのが放射線技師を目指すことになったきっかけですかね。
せっかく4年間過ごすならサークルとかバイトだけじゃなくて学んだことが社会でそのまま生かせるようなことを身に付けたいと思っていたので、専門性が高い分野という点でも惹かれました。
あと、放射線技師には当時女性が少なかったこともあり、マンモグラフィなど女性向けの検査や治療で何か役に立てることがありそうだな、と思ったのもきっかけの一つです。
ー現在はどのようにお仕事をしていますか?転職もご経験とのことで、その背景や経緯などもぜひお教え下さい。
現在は、放射線技師として非常勤で3つの病院や企業と契約をして働いています。
内容は病院内でのレントゲン・CT・マンモグラフィ業務や超音波・胸部レントゲンの企業健診などです。頻度はそれぞれ週に1〜2回程度なので、現在技師として働くのは週に3回前後です。
現在のような働き方をする前は、都内の大学病院に6年間フルタイムで勤務していました。
勉強会や研究発表も盛んだったり、新人の教育体制が整っている病院だったので正直働いたあとはヘトヘトでした・・・でも、一般撮影(レントゲン)、マンモグラフィ、CT、MRI、超音波検査、核医学検査、血管撮影など一通りのことを早いうちに経験出来たことが自信になりましたね!
ー今までに、キャリアの選択を悩んだことはありましたか?現在のキャリアに進むに当たって、どう決断しましたか?
放射線技師になって3年目頃までは正直やりがいを感じられなくて技師を続けていくことを悩んでいた時期がありました。仕事が単調に思えたり、高圧的な先輩技師と馬が合わなかったり・・
その上、慣れない検査に緊張してしまい周りに迷惑をかけることが重なると
「放射線技師に自分は向いていないんじゃないか」
と周りと自分を比較してネガティブになってしまっていました。
そこで、もともと英語や海外旅行が好きだったこともあり「5年間働いたら一旦病院をやめて海外に行こう」と決意しました。この時の決意は固かったのでその後揺らぐことはなかったですね。不思議なことに、辞める期限を決めた途端に仕事にも前向きになれるようになったのを覚えています。
結果として、5年間働いてみたら仕事も工夫できるようになり楽しくなったのと勉強したいことがあったので辞めるのは1年延ばしました。
退職後はフィリピンで語学留学をした後、オーストラリアでワーキングホリデーをしている予定だったのですが、新型コロナによってしばらく延期になっています。楽しみにしていたので残念ではありますが、渡航ができる状況になったら行こうと思っています。
ーまりんさんは、ライターも兼業されているとのことですが、ライターを始めたきっかけと、インターネット・SNSなどがさらに身近になったことで様々な情報が溢れていますが、医療職として情報発信をする意義についてのお考えをお教え下さい。
ライターのお仕事を始めたのは「海外にいる間も出来る仕事がしたい」「放射線技師としての経験を生かせることがしたい」と思ったからです。
今年の5月からライター業を始めたのでまだまだ駆け出しですが、様々な情報の中から信頼できるデータを集めてわかりやすく読者に伝えることにやりがいを感じています。
特に、医療職として記事を書くときは、「誤ったことを言っていないか」、とても慎重にリサーチをして何度も記事を読み返しています。
医療職ではない方でも、入念にリサーチをすれば正しい情報を発信することはもちろんできると思います。ですが、私たち医療職は現場での経験や知識に加えて「専門職としての責任」を背負っているので、情報の質が高い記事を発信できると思っています。
医療現場で放射線を扱う仕事をしていると「技師の人は被ばくするから妊娠するのが心配じゃない?」とか「被ばくするのが嫌だから検査を受けたくない」とか様々な声をかけられます。
でも、放射線についての正しい認識があれば必要以上に心配する必要がないことを私たち放射線技師は知っているのでその都度患者さんに説明をしていました。
なので、今後はインターネットやSNSを通じて患者さんがより安心して検査を受けられるような情報発信をしていけたらいいなと思っています。
ー現在は、本業の診療放射線技師と、ライター業を2つこなされていると思いますが、現在の働き方ならではのエピソードや感じていることがあれば、それもお教えください。
現在の働き方で最もいいと感じている変化は、ストレスが少なくなったことです。
大学病院で働いていたときは自宅が遠かったこともあり、毎朝5時ごろに起きて混み合う電車に乗って夕方までドタバタ働いて、勤務後は勉強会の準備をしたり、職場の人たちと飲みに行ったり。家に着くのは0時過ぎ・・・ということも多々あったので常に体に疲れが残っているような感じがありました。
現在は、以前から田舎暮らしに興味があったので、放射線技師として働く週は都内近くの実家に住み、放射線技師の仕事がない週はライターの仕事をしながら千葉の九十九里に部屋を借りて住んでいます。
睡眠がたくさん摂れるようになり、散歩をしたり色んな人と話したりしてリフレッシュできるようになったことでストレスが減ったのか肌艶がすごくよくなりました(笑)。
あとは、ライターとしてクライアントさんから直接お仕事をいただけたり、書いた記事を評価してもらえたりするのが単純に楽しいです。病院で働いていると仕事を「もらってくる」という感覚はあまりないので。
病院で患者さんや医療職の方と関わる機会がありつつ、ライターとして自分のスキルを磨きつつ、田舎でのんびりできる時間があるという最高のライフスタイルに近づいている感覚があります(笑)。
ー今後は、どのようにお仕事をしていこうと考えていらっしゃいますか?
海外へ留学した後は、引き続き放射線技師とライターを続けつつ英語を活かして学会発表のサポートみたいなことに挑戦したいと考えています。
現在、放射線技師の分野では、英語でのスライド発表や英語オーラルでの発表をする機会が増えてきています。実際私も韓国とタイで英語での学会発表をした経験があります。
自分で取り組んできたことを海外の人にも知ってもらうのはとても刺激的でしたし、英語で発表した内容が海外の人に理解してもらえたことが伝わってきてとても有意義な経験でした。
しかし、専門的な内容を理解しつつ出来るだけ自然な英語にしたり、というのはハードルが高いので挑戦したくても尻込みしてしまう人が多いのが現状です。
私の場合はアメリカ人の友人がいたので、専門的な内容について私が説明したことを友人が適切なニュアンスの英語に変換してくれて助けてもらいました。
なので、留学を経た後は過去の自分のように「英語を使って発表してみたい」という人を後押しするようなことができたらいいなと考えています。そのためにも、ライター業でライティングスキルを磨いていきたいです。
診療放射線技師として働く日のタイムスケジュール
-
-
AM 5:30
起床
※勤務地によって多少変わります
-
AM8:30
勤務開始
-
PM12:30
勤務終了
※17時まで勤務の場合もあり
-
PM13:00
ランチ
行った先々で美味しいお店を探すのも楽しみの一つです!
-
PM17:00
自由時間
-
PM18:00~20:00
夕食の準備・夕食
-
PM21:00
お風呂
-
PM22:00
記事の執筆など
-
PM23:30
就寝
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ライターとして働く日のタイムスケジュール
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-
AM 7:30
起床
※勤務地によって多少変わります
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AM8:00
朝食
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AM9:00~12:00
記事執筆
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PM12:00
昼食
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PM13:00
記事の執筆
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PM15:00~17:00
自由時間
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PM18:00
夕食の準備・夕食
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PM20:00
記事の執筆
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PM23:00
お風呂
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PM23:30
就寝
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ー現在キャリアを継続する上で、大変なことと、それに対して工夫している点は?
仕事で関わる人たちとのコミュニケーションを以前にも増して大切にするようになりました。
実は、放射線技師の仕事は求人サイトからではなく、以前の職場の先輩やお世話になった方々から直接紹介していただいた案件ばかりです。そのため、紹介してくださった人たちに迷惑をかけないためにもコミュニケーションをとりながら円滑に仕事をするように心がけています。
あとは、複数の勤務地で働いていたりスケジュールが変則的なので勤務日や勤務場所、時間などをしっかり管理することは当たり前ですが気をつけています。
携帯のカレンダーにはその日働く予定の勤務地、住所、連絡先、時間など出来るだけ詳細な情報を入力するようにしておき、さらに前日には勤務先の方にリマインドとして連絡を入れるようにしています。あとは急なトラブルに対応できるように早めに現地に到着するようにしています。
ー現在の医療業界で課題に感じていることはありますか?また、今後の医療業界に必要なものは何だと思いますか?
現場で働いて思ったのが、病院での勤務は検査や診察などの予約に追われていて働いている人たちが疲弊してしまっているということです。
医療職についている人たちは全体的に優しい人や思いやりのある人が多いですが、同時に真面目な人も多いので業務をきっちり遂行しようとする余り患者さんへの対応が少し事務的になってしまうこともあると感じています。
収益を求めて検査や診察の数が増えてしまうのは仕方のないことなのかもしれませんが、働く人たちの負担が少し減るような病院システムになれば結果として患者さんのケアの質も上がるのではないかというのが個人的な意見です。
ー最後に、ライターをこれから始めたい医療職の皆さまにひとことをお願いします!
医療職の皆さんはライターとして活躍できる要素をたくさん持っています。
これまで培ってきた経験や知識をウェブを通じて広めたり、自分を表現する時間ができることはとても楽しいです。
それに、ライターは病院に働きながらでも始めることができるので興味があったらまずは挑戦してみてから考えたらいいのではないでしょうか。
少しでも皆さんのライフスタイルが楽しくなったら嬉しいです!
ーまりんさん、今回は貴重なご経験をお話いただき誠にありがとうございました。医療以外の道も切り拓かれていて、これからが楽しみですね!
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