医療機関が消費税増税に伴って気をつけるべきポイント、2019年10月消費税10%へ

医療機関が消費税増税に伴って気をつけるべきポイント、2019年10月消費税10%へ

2019.11.16 07:10




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2019年10月1日より消費税が8%から10%に増税されました。これに伴って消費者向けの対策として9ヶ月間の期間限定で実施されるのがキャッシュレス・ポイント還元事業です。以前掲載した記事で、医療機関の診療に関してはキャッシュレスポイント還元事業には加盟できないことをご紹介しました。

 

では、純粋に消費税増税に伴って、クリニックや歯科医院の医療機関が何か気をつけるべきことはあるのか?を公的な公表を中心に簡単にまとめました。(読了10分)

 

厚生労働省の消費税増税に伴う医療機関向けの公表

消費税増税に伴い、厚生労働省は、「消費税と診療報酬について」というタイトルでPDFを公表しています。こちらは全7ページ程度で図なども用いてわかりやすい内容なので、医院経営者や患者さんに説明する必要がある医療スタッフは一読することをお勧めします。

厚生労働省 「消費税と診療報酬について」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken14/index.html

診療報酬と消費税は関係ある?

社会保険診療における医療は “非課税取引”取引。

まず、大前提として、社会保険診療における医療は “非課税取引”となります。

一方、消費税は、消費者が支払いの義務があります。つまり、消費税の観点から言うと医療機関の診療にかかる材料や設備などの消費税の負担は、医療機関などの事業者がするものではないという認識になります。

 

診療報酬や薬価等には、医療機関等が仕入れ時に負担する消費税が反映されている。

医療機関等が社会保険診療を行うために医薬品や材料・設備等を仕入れる際には消費税を支払います。しかし、社会保険診療が非課税取引であるが故に仕入税額控除ができず、 医療機関等が仕入れに際して支払う消費税は、医療機関等の負担になっています。

 

例年、消費税増税の際には、医療機関等が仕入れに際して支払う消費税に応じた診療報酬や薬価に上乗せ措置を行われている

厚生労働省はこのことに対して、

“消費税は事業者にとって実質的な負担となるべきものではな いことから、診療報酬や薬価等を設定する際には、医療機関等が仕入れに際して支払う消費税を反映し、点数を上乗せすることで対応をしてきています。“ としています。

このような経緯から、令和元年10月1日から消費税が10%になることに伴い、 診療報酬の一部が引き上げられました

 

医療機関が消費税10%増税後から変わること

2019年10月消費税増税に伴う診療報酬の改定

まず、1点、診療報酬の変更は医療機関は把握しておかなければならないポイントでしょう。

以下のように変更されます。

 

“(1)消費税率2%分の引上げ

 ○ 2019年改定に当たっては、消費税率が8%から10%に引き上がることに合わせて、診 療報酬上、補てん措置を講ずる。 

○ その際、消費税率が5%から8%に引き上がった部分も含めた、5%から10%の部分 について、より正しい補てんとなるよう配点を実施。

 ○ 直近の通年実績のNDBデータ等を用いて、より実態を踏まえた形で補てん点数を計算。 ○ 消費税率10%への引上げ後の補てん状況については、必要なデータが揃い次第速やか に、かつ継続的に検証。 

 

医科 基本診療料に点数を上乗せすることを中心に対応。入院料について、病院種別や 入院料別ごとの入院料シェアも考慮して、消費税負担に見合う補てん点数を決定

 ②歯科 原則として初・再診料に配分するという2014年改定時の考え方を踏襲。

 ③調剤 原則として調剤基本料に配分するという2014年改定時の考え方を踏襲。”

 

厚生労働省 「消費税と診療報酬について」より引用

 

 

2019年10月消費税増税に伴う薬価・材料価格の改定

もう1点変更があります。薬価・材料価格も改定されました。

 

“(1)消費税率2%分の引上げ

○ 市場実勢価格(消費税8%分を含む)に消費税2%分を上乗せ。“

 

キャッシュレスポイント還元事業に該当する医療機関は申請手続きが必要

また、キャッシュレスポイント還元事業の該当になる施設は、申請などが必要です。詳しくはこちら。(こちらは、薬局、介護施設、病院内の売店なども経営の範囲にある方は確認しておくべきですが、一般のクリニックや歯科医院は該当しないものと思われますのでこの記事では説明を割愛します。)

 

 

消費税増税適応になる日は報酬が支払われる日か診療行為を行った日か

2019年10月の消費税増税が反映されるのは、診療行為を行った日です。全国保険医新聞2019年9月25日号によると、健診や予防接種等の収入が市や医師会から振り込まれるのは、診療行為を行ってから概ね2カ月以上期間があくため、診療行為を行ったのが2019年9月30日以前か2019年10月1日以降か注意する必要があると記載しています。https://hodanren.doc-net.or.jp/news/iryounews/190925_sisk3_msk1.html

 

 

医師会・歯科医師会・日本薬剤師会の消費税増税に関連する公表

日本医師会の消費税増税に関連するお知らせ

実務的なことに関する公表というよりは、消費税の負担に関する問題提起の方が多いようです。

 

「消費税10%で 医療費に 起こること」という見出しのポスターを2019年9/30に発表しています。

ポスターでは、

“医療(社会保険診療)は非課税とされていますが、 病院・診療所が診療を行うための薬や材料などの仕入れにかかる消費税は、 みなさまも一部を負担する仕組みになっています。 令和元年10月から消費税率が10%になったことに伴い、 初診料・再診料などが引き上げとなりました。” と問題提起しています。

http://dl.med.or.jp/dl-med/doctor/report/zeisei/20191105poster.pdf

(上記リンクより引用)

令和2年度医療に関する税制要望について によると、社会保険診療や介護保険サービス等に対する消費税は非課税とされているため、医療機関の仕入れに係る消費税額のうち、社会保険診療報酬等に対応する部分は仕入税額控除が適用されずに、医療機関が一旦負担し、その分は社会保険診療報酬等に反映して回収されることとされているにも関わらず、これまでの消費税増税に伴う社会保険診療報酬への反映は十分ではなく、設備投資を行う医療機関にとっては大きな消費税負担が生じることも極めて切実な問題と、しています。

 

日本歯科医師会の消費税増税に関連するお知らせ

日本歯科医師会も消費税増税に伴う実務的なお知らせは特にサイトに記載していません。2019年10月1日に実施した日本医師会との意見交換会でキャッシュレスなどに関して認識を共有したことを公表しています。

https://www.jda.or.jp/jda/release/detail_97.html

 

 

日本薬剤師会の消費税増税に関連するお知らせ

 

日本薬剤師会は、令和元年10月1日施行の調剤報酬点数一覧表を公表しています。https://www.nichiyaku.or.jp/assets/uploads/pharmacy-info/2019/0902.pdf

またそのほかにも、平成30年度・令和元年度調剤報酬改定等に関する資料が一覧できるページが作成されています。https://www.nichiyaku.or.jp/pharmacy-info/document/index.html

 

まとめ

消費税増税は、消費者にとっても事業者にとっても大きな変化で、戸惑いが生じることもあるでしょう。特に診療報酬が消費税増税で変わることは知らない患者さんもいる可能性があるので、まずは医療スタッフがよく消費税と医療費の仕組みを理解した上で、院内や施設内でポスターを掲示したり、会計時に一言を添えて、患者さんとのトラブルのないように心がけましょう。(周知用ポスターは厚労省のこちらのリンクからも入手できます。)

また経費の処理も消費税増税に伴い複雑になってくるので、顧問会計士や税理士とよく確認することが必要でしょう。

 

 

医療機関向け 消費税増税 関連サイト

厚労省:令和元年度診療報酬改定について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00026.html

 

厚労省:消費税率変更に伴う特定健康診査・特定保健指導 に係る費用の取扱いに関するQ&A (令和元年8月7日 版)

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000537421.pdf

 

厚労省:診療報酬等における消費税の取扱いに係る 周知用ポスターの送付について

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000547317.pdf

 

厚労省:医療用医薬品等に係る消費税率引上げへの対応等について

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000538275.pdf

 

日本医師会:税制関連資料

https://www.med.or.jp/doctor/zei/zeikanren/001192.html

 

日本医師会:今こそ考えよう 医療における消費税問題(パンフレット第2版)」 日本医師会(2013年)

http://dl.med.or.jp/dl-med/doctor/report/zeisei/pamphlet2.pdf

少し古いですが消費税そのものの仕組みについてわかりやすくまとまっています。

 

全国保険医団体連合会サイト:2019年消費税増税に伴う10月からの診療報酬改定について

https://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/19kaitei/ika/index.html

料金の改定の変化がわかりやすくまとまっています。

 

公益社団法人 日 本 医 師 会、公益社団法人 日本歯科医師会、 公益社団法人 日 本 薬 剤 師 会 、四 病 院 団 体 協 議 会

: 控除対象外消費税問題解消のための 新たな税制上の仕組みについての提言 -消費税率 10%への引き上げに向けて- (2018 年 8 月 29 日)https://www.jda.or.jp/jda/release/pdf/document_180830.pdf

 

 

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